人の心に灯をともす 5479 流言は知者に止まる

【流言は知者に止まる】5479



伊集院静氏の心に響く言葉より…


私の同級生の一人に、あいつのオヤジは人を殺した、という噂(うわさ)が出て、私は驚いた。

友だちの家が母子家庭であるのは父親が刑務所に入ってるからと、誰がどうこしらえたのか(バカな大人の噂話を子供が聞いたのだろう)、教室で声をひそめて皆その話をしていた。


その日、家に帰り、その話を母にした。

母は裁縫していた手を止め、私の手を強く引っ張るようにして怖い顔で言った。

「そんなことがあるわけないでしょう。あなたは△△君を知ってるのだから、ちゃんと違う、と言ってあげたの?」

私はうつむいた。


母の言う、そういう考えを、その時は思いもしなかった。

「△△君とお母さんが可哀相でしょう」

彼の母親は、時折、手籠に入った和菓子を行商のようにして売っていた。

母は、大変ね、と言いながら、それを買っていた。

仲も良かったのだろう。


「もう二度と、人と一緒になって、そんなことを言わないと約束してちょうだい」

「わかった」

「よく覚えておくのよ。誰かを悲しませる嫌な話や、噂話があったら、あなたの胸で皆止めるの。この先ずっとそうして下さい」


以来私は、他人の噂話はいっさいしない。

雑誌の中傷記事も読まない。

その類いのことに徹して来たら、普段どんなに人柄の良い人であっても、噂話をしている時の彼等の顔がなんとも醜いとわかった。


数十年過ぎて、本を読んでいたら、「流言(りゅうげん)は、智者に止(とど)まる』(荀子)の一行を見た。

なるほど昔からこういう考えがあったのか、と感心した。


《私は智者にはほど遠いが、流言を自ら止めることを守っている》


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噂話(うわさばなし)とは、世の中で起きていることや、人についての話題を無責任にかげで話をすること。

タレントや有名人の個人的で興味本位のゴシップも多い。

それが行き過ぎると、流言飛語(りゅうげんひご)となる。

確証や根拠のない情報が世間に流れることで、大きな災害が起きたときなどに、多くの人たちがパニックになることもある。


「流言(りゅうげん)は、智者に止(とど)まる』


大人の嗜(たしな)みとして、覚えておきたい言葉だ。

噂話をしている人の顔は、醜(みにく)く、そして、卑(いや)しく見える。


流言を自ら止める人でありたい。






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