人の心に灯をともす 6103 坂村真民先生
【坂村真民先生】6103
藤尾秀昭氏の心に響く言葉より…
坂村真民先生は明治42 (1909)年に生まれた。
満8歳で父親が急逝(きゅうせい)。
36歳の母親は乳吞み児を抱え、5人の子どもを女手一つで 育てなければならなくなった。
どん底の生活だったという。
先生自身、自分の履(は)くわら草履は自分で作り、学用品を買うお金を得るべく石炭俵を編(あ)む内職もした。
母は山畑(やまはた)を借り開墾し、そばやいもを作った。
そういう苦しい生活の中で、愚痴を言う代わりに母がいつも唱えていた言葉「念ずれば花ひらく」。
この言葉が真民先生の詩魂に火を つけ、詩道一筋の人生を歩む原点となった。
詩壇には目を向けず、「自分という人間を創り上げるために、そして人々の心に光を灯すために」苦しみから立ち上がる詩を書き続けた。
孤独の一本道。
だが、コツコツと希望を持って歩いていくと、前から光が差し、後ろから差しのべられる手があったのだ。
そういう不思議を何度も味わった。
『坂村真民一日一言』がこのほど出版された。
先生の最後の書となったこの一冊には、一貫(いちつらぬ)かんと己を叱咤、鼓舞勉励する言葉が溢れている。
●こつこつこつこつ/書いてゆこう
●この痩せた体をただ一つのことに費やしたい/多くのことはできない から/一つのことでこの世を終わろう
●よわねをはくな/くよくよするな/なきごというな/うしろをむくな/ひとつをねがい/ひとつをしとげ/はなをさかせよ/よいみをむすべ
●いつも嵐が吹いている/それが詩人というものだ
一貫く人の生き方は厳しい。
真民先生の胸にもいつも嵐が吹いていた のだろう。
しかしそれ故に、一貫く人の生き方は美しい。
締め括りの言葉はこうである。
●よい本を読め
よい本を読んで己れを作れ
心に美しい火を燃やし
人生は尊かったと叫ばしめよ
『小さな人生論3』致知出版社
https://q.bmd.jp/91/119/8067/__no__
「慎独(しんどく)」という言葉がある。
儒教の古典「大学」に由来する考え方で、「人が見ていない一人でいるときも、人前でいる時と同じように心を律し、行いを慎むこと」という意味だ。
自分の一道を貫こうとして生きるとき、人は必ず孤独と向き合う。
それは読書の時と同じだ。
一冊の本を前にしたとき、人は、ページをめくるのも、言葉を咀嚼するのも、心を動かされるのも、すべて自分一人だ。
人に見せるためでもなく、誇るためでもなく、ただ自分の内面を磨くため、本を開く。
だからこそ、読書は「慎独」の修行に似ている。
どんなに社交的で、いつもまわりに人が集まる人であろうと、本を読むときは一人になる。
孤独になる時間は、誰にでもあるのだ。
人生を真剣に生きようとするなら、必ずこの孤独と向き合わなければならない。
孤独と向き合わない人間は、自分の頭で考え、自分で探究するという生き方から逃げている。
人や世間の言葉に右往左往する人生となるからだ。
よい本を読んで己れを作る、という人生を歩みたい。
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藤尾秀昭氏の心に響く言葉より…
坂村真民先生は明治42 (1909)年に生まれた。
満8歳で父親が急逝(きゅうせい)。
36歳の母親は乳吞み児を抱え、5人の子どもを女手一つで 育てなければならなくなった。
どん底の生活だったという。
先生自身、自分の履(は)くわら草履は自分で作り、学用品を買うお金を得るべく石炭俵を編(あ)む内職もした。
母は山畑(やまはた)を借り開墾し、そばやいもを作った。
そういう苦しい生活の中で、愚痴を言う代わりに母がいつも唱えていた言葉「念ずれば花ひらく」。
この言葉が真民先生の詩魂に火を つけ、詩道一筋の人生を歩む原点となった。
詩壇には目を向けず、「自分という人間を創り上げるために、そして人々の心に光を灯すために」苦しみから立ち上がる詩を書き続けた。
孤独の一本道。
だが、コツコツと希望を持って歩いていくと、前から光が差し、後ろから差しのべられる手があったのだ。
そういう不思議を何度も味わった。
『坂村真民一日一言』がこのほど出版された。
先生の最後の書となったこの一冊には、一貫(いちつらぬ)かんと己を叱咤、鼓舞勉励する言葉が溢れている。
●こつこつこつこつ/書いてゆこう
●この痩せた体をただ一つのことに費やしたい/多くのことはできない から/一つのことでこの世を終わろう
●よわねをはくな/くよくよするな/なきごというな/うしろをむくな/ひとつをねがい/ひとつをしとげ/はなをさかせよ/よいみをむすべ
●いつも嵐が吹いている/それが詩人というものだ
一貫く人の生き方は厳しい。
真民先生の胸にもいつも嵐が吹いていた のだろう。
しかしそれ故に、一貫く人の生き方は美しい。
締め括りの言葉はこうである。
●よい本を読め
よい本を読んで己れを作れ
心に美しい火を燃やし
人生は尊かったと叫ばしめよ
『小さな人生論3』致知出版社
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「慎独(しんどく)」という言葉がある。
儒教の古典「大学」に由来する考え方で、「人が見ていない一人でいるときも、人前でいる時と同じように心を律し、行いを慎むこと」という意味だ。
自分の一道を貫こうとして生きるとき、人は必ず孤独と向き合う。
それは読書の時と同じだ。
一冊の本を前にしたとき、人は、ページをめくるのも、言葉を咀嚼するのも、心を動かされるのも、すべて自分一人だ。
人に見せるためでもなく、誇るためでもなく、ただ自分の内面を磨くため、本を開く。
だからこそ、読書は「慎独」の修行に似ている。
どんなに社交的で、いつもまわりに人が集まる人であろうと、本を読むときは一人になる。
孤独になる時間は、誰にでもあるのだ。
人生を真剣に生きようとするなら、必ずこの孤独と向き合わなければならない。
孤独と向き合わない人間は、自分の頭で考え、自分で探究するという生き方から逃げている。
人や世間の言葉に右往左往する人生となるからだ。
よい本を読んで己れを作る、という人生を歩みたい。
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