人の心に灯をともす 4113 チャーチルの狂愚

【チャーチルの狂愚】4113



エリック・バーカー氏の心に響く言葉より…


チャーチルは、異端の政治家だった。

愛国心に満ち溢れ、イギリスへの潜在脅威に対してパラノイア的な防衛意識を貫いた。

ガンジーさえも危険視し、インドの自治を求める平和的な運動にも猛反対した。


チャーチルは自国を脅かすあらゆる脅威に声高に騒ぎたてるチキン・リトル(臆病者)だったが、まさにその難点ゆえに、歴史上最も尊敬される指導者の一人となった。

チャーチルはただ独り、早い段階からヒトラーの本質を見抜き、脅威と認識していた。

一方チェンバレンは、ヒトラーは「約束をしたら、それを守ると信じられる男」という考えで凝り固まっていたので、宥和政策こそナチスの台頭を抑える方策だと確信していた。

ここぞという重大な局面で、チャーチルのパラノイアが本領を発揮したといえる。

いじめっ子に弁当代を渡したら最後、もっと巻き上げられるだけだ、奴の鼻を一発ぶん殴らなければならない、と見抜いていたのだから。

チャーチルの熱狂的な国防意識…危うく彼の政治生命を滅ぼしかけた…は、第二次世界大戦前夜のイギリスになくてはならないものだった。

そして幸運にも国民は、手遅れになる前にそのことに気づいた。


自分にとって悪夢のような特性は、世界を変えるような強みにもなりうる。

調査によると、並外れてクリエイティブな人間とは、傲慢で誠実性に欠け、支離滅裂であるという。

学校での成績も振るわない。

教師たちも、正直なところクリエイティブな生徒が苦手だ。

言いつけを守らないことが多いからだ。


あなたはそんな従業員がほしいだろうか?

絶対にごめんだろう。

創造性に富んだ社員ほど、勤務評価が低くなる傾向も不思議ではない。

創造的な人びとは、企業の最高経営責任者(CEO)になりにくいともいわれる。


しかし数字の知識があれば明らかなように、平均値はくせものだ。

高名な広告代理店のBBDOのCEOであるアンドリュー・ロビンソンもかつてこう言った。

「頭を冷蔵庫につっこんで、足先をバーナーにかざしていれば、平均体温は正常だ。私は、平均値にはいつも用心している」

概して、類まれな状況で適応できるのは、平均値から外れているものだ。

「おおむね良い」ものは、極端な状況で使い物にならない。

一年のうち8か月間はちょうど良い上着を厳冬期に着たら風邪をひく、それと同じで、一般に歓迎されないが増強装置となりうる資質は、特殊な状況で本領を発揮するのだ。

さながら一般道を走れないF1カーが、レーシングコースで新記録を打ち立てるように。


心理学者のディーン・キース・サイモントンは、その研究『狂気と天才のパラドクス』で、ほどほどクリエイティブな人間は平均的な人より精神面で健康だが、並外れて創造的な人間は、精神障害を発症する確率が高いと明らかにした。

成功を極めるには、一般社会では問題視されるような特性を持つことも必要だ。

このことは、さまざまな障害と才能の関係においても見ることができる。

注意欠陥障害の兆候を心理学者のポール・ピアソンは、ユーモアのセンス、神経症的傾向、サイコパシーが関連し合っていることを発見した。

また衝動性は、暴力や犯罪といった文脈で挙げられることが多いネガティブな特性だが、これもまた創造性と結びついていることがわかった。


『卓越したアーティストの人格的特性』と題する研究では、創造的分野で大成功しているアーティストは、活躍がそれほどでもないアーティストに比べて、サイコパシー傾向が著しく高い数値を示すことが証明された。

また別の研究でも、功績が華々しい大統領は、サイコパシーの度合いが高いとされている。


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エリック・バーカー氏は「成功者の特性」についてさらにこう述べている。


『成功者の特性は好意的に解釈されるので、増強装置はポジティブな資質としてまかり通ることが多い。

古いジョークにも、「貧乏人なら頭がおかしいと言われ、金持ちならもの好きだと言われる」とある。

強迫観念のような特性も、成功者に対してはポジティブに捉えられ、それ以外にはネガティブに捉えられる。

完璧主義によって成功する者もいれば、ただ頭がイカれているとされる者もいるのだ。』


『積極的に攻めまくるシリコンバレーの起業家といえば、現代を象徴する成功者というイメージだろう。

思いつくままにそのイメージを並べればこんな感じだろうか?

エネルギーの塊、リスクを冒す、短時間睡眠(ショートスリーパー)、ばかげた行為を容認しない、自信とカリスマ性がある、果てしなく野心的、衝動に突き動かされ、片時もじっとしていない…。

まさにこれらの特性は、軽躁病の症状としても知られている。

しかもジョンズ・ホプキンス大学の心理学者、ジョン・ガートナーによる研究は、これがたんなる偶然でないことを示した。

本格的な躁病患者は、社会で働くことが難しい。

しかし軽躁病は、ゆるくでも現実と結びつきながら、目標に向かって片時も休まず、興奮状態で、衝動のままに突き進む仕事人をつくり出す。

論文『悪癖を矯正することの経済的価値:不品行、学校教育、労働市場』の著者たちは、男児の不品行をなくそうとすることは、彼らの成績改善には役立つが、生涯の収入を減らすことを明らかにした。

かんしゃくを起こすなど感情を露わにする男児はそうでない男児と比べて、たくさん働き、より生産的で、収入が3%高いことが明らかになった。

この事実は、ベンチャー企業にも当てはまる。』



パラノイアとは「狂」だ。

それを行徳哲男師はこう語る。


『日本人に「ど阿呆」がいなくなった。

ど阿呆とは狂愚の人と言ってもいい。

例えば吉田松陰である。

彼は「狂愚まことに愛すべし、才良まことに虞(おそ)るべし」と言った。

狂愚は愛すべきだが、頭のいいだけの人間がいかに恐ろしいかを知っていたのである。

松陰はまた「狂は常に進取に鋭く、愚は常に避趨(ひすう)に疎し。才は機変の士多く、良は郷原の狂多し」とも言う。

愚があるから計算せずに新しいことに挑める。

「ど阿呆」とは大愚の世界。

これ以上の大きな悟りはない。』


いつの時代も、変革者は異端者だ。

我を忘れて熱狂し、まるで「ど阿呆」のように行動する。

時代が大きく変わる今…

時に、なりふりかまわず、狂愚で乗り越えたい。







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