人の心に灯をともす 4183 いくつになっても学び続ける(元旦によせて)

【いくつになっても学び続ける(元旦によせて)】4183



立命館アジア太平洋大学学長、出口治明(はるあき)氏の心に響く言葉より…


この本のタイトルはもともと「死ぬまで勉強」でした。

僕は、人間は死ぬまで勉強をしたほうがいい、と思っています。

それは、そのほうが楽しいからです。


秦の始皇帝が不老長寿…いつまでも楽しく遊ぼうという世界…を望んだように、人間はやっぱりおもしろおかしく、楽しく生きるのがいちばん幸せだと思うのです。

だから「もう歳をとったから、新しいことなんかしたくない」という人は加速度的に老いてしまう。

それでは人生が楽しいはずがありません。

不思議なものへの興味、未知なるものへの探求心、恋人への関心…つまり「好奇心」が、人を若返らせるのです。


ところが、そうは考えない人が少なくありません。

政府が掲げる「生涯現役社会」に関連して、定年延長が論議されていますが(僕は定年は廃止すべきだと思っています)、こうした動きに対して、「引退してゆっくりできると思っていたのに…」「ゴルフ三昧の生活を送るつもりだったのに」などと戸惑いと怒りの声が上がっているのはご存知のとおりです。

そんな人の下で働く若い人は、不幸としかいいようがありません。


アメリカの大学は、基本的に定年という考え方がありません。

80歳を過ぎても教授でいることが可能です。

「日本でそんなことをしたら、全員が教授になってしまう、若い人が採用できない」と思われるかもしれませんが、競争原理が働いているので、そんなことにはなりません。

どういうことかというと、授業のたびに学生に採点されて、スコアが悪いとどんどん降格されたり、クビになったりするのです。

魅力的な先生は80歳を超えても教授でいられますが、30~40歳の働き盛りの先生でも、学生に支持されなかったら授業を受け持つことができなくなるのです。

だから、定年がなくても、「教授40、助教30、准教30」などという適正割合がきちんと保たれるわけです。


サボったら落ちていく、がんばったら上がるという基本的な仕組みがなかったら、社会は衰退していきます。

プロ野球でもJリーグでも、伝統的な大相撲でも、がんばって成績を残したら年俸が上がるし、成績が悪ければ収入が激減し、悪くすると引退に追い込まれてしまいます。

それと同じ原理、原則を、企業や大学をはじめ、日本中に導入すべきだと思います。

そうすれば、沈滞している日本を活気づけることができるだろうし、さまざまなものに対する好奇心もわいてくるでしょう。


人間が勉強するもう一つの意味は、次世代を育てるためです。

どんなに原始的な生物でも、次世代に命をつなぐために存在しています。

人間の場合は加えて大きな脳を持っているので、次世代のために、より良き未来を残すことが可能なのです。

ただ、それはあくまで「可能性」であって、このまま日本がどんどん衰退していくのであれば、残せるのは悪夢のような未来になってしまうかもしれません。


そんな中で、われわれ大人はもう少しがんばって、この衰退の流れをどこかで反転させる必要があります。

ただ単に次世代にバトンをつなくだけなら、それほど無責任なことはありません。

まず大人ががんばって、そのがんばる姿を若者や子どもたちに見せる必要があるのです。


大人が「もう歳をとったし、勉強するのはしんどいから」といって、遊び呆けてばかりいると、若者や子どもが勉強をするはずがありません。

だから、大人も人・本・旅で学び続け、子どもと、さまざまなことを議論する環境が必要です。

専門的な小難しいことを話す必要はないし、場合によっては子どもに教えてもらってもいい。

とにかく学ぶことをやめなければ、未来に光は差してくると思います。


いま、世界ではコロナウイルスと人類が熾烈な戦いを繰り広げています。

人類の武器はグローバルな信頼と連帯です。

コロナウイルスの情報を交換・共有し、新兵器(ワクチンや薬)を共同で開発する、ここにこそ勝機があります。

そのためにも、謙虚に人・本・旅で学ぶ必要があるのです。


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昨年は、コロナ禍により、世界は大きく変わった。

そしてその結果、人は大きく二分された。

一つは、勉強し、新たなことにチャレンジしている人たち。

もう一つは、コロナ前に戻ることをひたすら願い、現状維持に汲々としている人たちだ。


これは言ってみれば、武士の時代から、商人や民間人の時代に変わった明治維新のようなものだ。

もう、世の中が変わったのに、いつか武士の時代に戻るだろうと、未だにちょんまげを結い、刀を差して、ただひたすら待っている人。

江戸時代には決して戻らないのと同じように、コロナ前と同じようには決してならない。


なぜなら、会議や授業がリモートになり、商売の仕方も、働き方も、生活や会社に対する価値観も、大きく変わったからだ。

このコロナ禍により、変化が一挙に加速した。

その元にはデジタルがある。

デジタルの進化により、日々、多くのものが変化した。


日本は、鎖国していた江戸時代と同じように、平成元年からのこの30年で、日本経済は衰退の一途をたどり「失われた30年」と言われた。

それは、ひとえにデジタル化に遅れてしまったと言っても過言ではない。


しかし、このコロナ禍により、世界は今、リセットされた。

ここから、世界の国々が一斉にスタートラインに立ったということだ。

これが、日本復活の最後のチャンスかもしれない。

だからこそ、歳を重ねれば重ねるほど「新しい」ことを学ぶ必要がある。


「一年の計は元旦にあり」という。

老いも若きも、この2021年を「学び」の年とし、失われた日本を取り戻すべく、必死の努力を重ねてゆきたい。





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