人の心に灯をともす 4546 美人とイケメン

【美人とイケメン】



竹内一郎氏の心に響く言葉より…


若い時分は美人、イケメンが得をすることは誰もが知っている。

往々にして女性はイケメンの、男性は美人のアイドルや俳優、歌手を好む。
 
相手の中身のことは考えずに、ルックスだけに左右されて好みの異性を追いかける。

これは若い人も、年配者もおおむね同様である。

だから、若者がとりあえずの見た目にとらわれがちであることに異論はない。

美人、イケメンであることは有利である。


しかし、人生全体を見渡した時に、美人やイケメンは得と言えるだろうか。

有利な状況はずっと続くのだろうか。

昭和を代表する演劇評論家に戸板康二(といたやすじ)がいる。

演劇界の裏も表も知り尽くした芝居の通がこう言っている。


「子供の時分から身辺(しんぺん)に見て来た中で、『あの子は美しい』といわれて育った娘で、幸運にめぐまれた女性よりも、逆の運命を辿った女性のほうが、どうも多いような気がする」

「美しい女優で、ことに目立つのは、わがままなことである。傲慢なのもいる。周囲へのいたわりが欠ける」

私も40年以上演劇界にいるが、戸板と同じ意見である。

というより、すべての演劇人はそう考えていると思う。

また、私の知る範囲では外国の演出家とも意見は合う。


演劇界を知らなくて、普通に会社員生活を送っている人でも、戸板の意見に共鳴する人は多いはずだ。

美人で若い頃から男にちやほやされるうちに、天狗(てんぐ)になって、結局は周囲に総スカンを食ってしまう人がいないだろうか。

自分が「高嶺(たかね)の花」だと思っているから、つり合いのとれる男がいなくて、結婚しそびれる美人もいる。

また、美人ゆえに結婚生活に失敗する人もいる。

夫婦生活を維持するには忍耐力が必要だが、独身時代は交際相手の方が我慢してくれているのに気付いていなかったりする。


美人で得をしているうちに、何らかの蓄えをしておかないと、見た目で恵まれない分、必死で武器を得るべく努力していた人と、魅力の総量が逆転してしまうのだ。

女優で述べたが、一般女性も原理は同じである。

イケメンもルックス頼りだと美人と同じ運命を辿る。


美人もイケメンも、人生は思った以上に長いと知るべきである。

人生100年時代という言葉もある。

美形優位が通用するのは、せいぜい50歳ぐらいまで。

残りの50年を早めに勘定に入れるのも才能のうちである。


50歳を過ぎたら、ソクラテスが言う意味での「顔」がすべてを反映していると考えるべきである。

「広義の見た目」が重要なのだ。


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古代ギリシアの哲学者・クセノフォーンは『ソークラテースの思い出』(岩波文庫)の中で、ソクラテスはこう言ったと書いている。


『「高貴と自由や、微賤と卑屈や、思慮とたしなみや、傲慢とぶしつけもまた、顔によって、たとえ人間が静止していようが、動いていようが、現れて来るものである」

わかりやすく言うと、人間の中身は顔に表れてくるものだ、という意味である。

私は21世紀になって、「人は見た目が9割」と言ったのだが、紀元前5世紀頃に、すでにソクラテスが「顔を見ればどんな人間かわかる」と指摘していた。

哲学の祖は9割などと控えめには言わない。

前後関係から察するに「顔だけで全部わかる」と言っているのである。』



「売り家と唐様で書く三代目」

ということわざがある。

初代が苦労して財産を残しても、三代目になると没落して家を売り出すようになる。

そして、その「売り家」と書いた文字は、唐様でしゃれている。

そういう芸事(習字)に長(た)けている、というのは商売をおろそかにしてきたからだ、という意味。


美女であろうがイケメンであろうが、自らが努力をせずに手に入れたものは、失いやすいということ。

倦(う)まず、たゆまず、自らを磨き続けたい。






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