人の心に灯をともす 4563 わからないことを決めるとき

【わからないことを決めるとき】4563



立命館アジア太平洋大学(APU)学長、出口治明(はるあき)氏の心に響く言葉より…


僕は「直感で決める」ことを大切にしています。

この直感というのは「何も考えずに決める」ことではありません。

人間の脳は問題に直面した瞬間に、頭のなかに蓄積されている情報を高速でサーチし、最適な答えを導き出すようにできているのです。

つまり、脳が最速で必要な情報処理を行った結果が「直感」なのです。


直感の精度はその人のインプットの集積で決まります。

だからこそ、日ごろから読書をしたり、さまざまなジャンルの人に会ったりして経験の幅を広げ、インプットの量を増やしておくことが大切なのです。

そのように努めれば、直感の精度は確実に高まります。

常に「人、本、旅」で勉強しなければいけないのです。


特に直感の精度が求められるのはリーダーになったときでしょう。

極論すれば、リーダーというのは、「わからないことを決められる人」のことです。

現場をいちばん知っているのは部下であり、上司はその詳細まではわからないのがふつうです。

わからないなかで、日々多くの判断を下していくことこそがリーダーの役割なのです。


ある日の午前中に、明日の会議で使う資料の作成を二人の部下に頼んだとしましょう。

Aさんは午前早い時間にもってきました。

必要な要素だけを入れ込んだいたってシンプルなつくりで、誤字も何ヵ所か見つかりました。

いっぽう、もう一人のBさんのつくった資料は会議の直前まで時間をかけただけあって、レイアウトや色づかいにも気を配った素晴らしい出来栄えです。

誤字脱字もありません。

さて、この場合、評価が高いのはどちらだと思いますか?


僕が上司なら、間違いなくAさんのほうに高い評価を与えます。

なぜなら、早く手元にもらえれば、それを見て追加資料を用意したり戦略を練ったりすることができるからです。

多少誤字があったとしても、できあがりが早い分、修正の時間も十分にとれます。

かたやBさんは、いくら出来栄えがよくても「時間をかけたのだから当たり前」という目で見られ、苦労の割には報われないといっていいでしょう。

これまで日本の会社に多かったのは圧倒的にBさんタイプでした。

「時間をかけてもミスのない完璧なものをつくることが重要だ」という考え方は、時間も経営資源も無限だという錯覚の代物です。

長時間残業の問題も、元をただせば日本人のこの完璧主義と無縁ではありません。


しかし、これからの時代はこのやり方を踏襲してもうまくいかないでしょう。

繰り返しますが、僕たちに求められているのは、すべてをゼロから考え、新しい価値体系を再構築していくことなのです。

そのためには、毎度時間をかけて一つひとつのことにじっくり取り組むなどという悠長なことをいっている余裕はありません。

猛スピードで考え、次々と試行錯誤を繰り返していかなければならないのです。


いちばんまずいのは、課題に対して優柔不断な態度をとることです。

宙ぶらりんの時間は何も生み出しません。

仮決めでも結論を出してしまえば、それがよかったのか悪かったのかを嫌でも考えるようになるので思考が深まります。

また、一つ行動を起こせばそれに対して反応が起きる、そうしたらそこでベストだと思う行動をとる、それを繰り返すことで状況はよい方向に動いていくのです。


極端ないい方をすれば、迷ったらコインを放り投げてその表裏で判断をしてもかまわないのです。

そんな決め方であっても、何もしないでぐずぐずしているより、ものごとは間違いなくいい方向に進むはずです。

そうやって仕事や意思決定のスピードを上げていくと単位時間内にできることが増えていきます。

つまり生産性が上がるのです。


思考の時間が短くてすむのは、深く考える訓練ができているからです。

眠りが深い人は短時間睡眠でも頭がすっきりするのと同じで、思考も深めれば深めるほど時間をかける必要がなくなるのです。

鍵は集中力にあります。 


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天才投資家といわれたジョージ・ソロスは自著「ジョージ・ソロス」の中でこう語っている。

「体が痛くなるんだよ。

私はかなり動物的な勘に頼っていてね。

以前、さかんにファンドを動かしていたときは、背中の痛みに悩まされた。

その鋭い痛みが始まったのを、自分の投資ファンドのどこかにおかしいところがある合図だと受けとったわけだ」


およそ、非科学的な言葉だが、この手法でソロスは数々の投資に大成功してきた。

もちろんここに至るまでには、多くの場数を踏み、幾多の失敗も重ねてきたはずだ。


直感が働くときは、「なんとなく」それを感じる。

「なんとなく」この人とはウマが合いそうだとか、「なんとなく」違和感を感じるとか、胡散(うさん)くさい、というようなときだ。

これは理屈ではない。

理屈を超えたものだからこそ、AIやデジタルを軽く飛び越える判断を下すことができる。


「(誰もが)わからないことを決めるとき」は、直感に頼るしかない。

実は本当は、未来のことは誰にも分らない。

「この人と結婚していいのか」「この会社に入っていいのか」「会社を辞め転職していいのか」…。


そのためには、出口氏のいう、多くの本を読み、多くの人と会い、多くの場所に出かける(旅)。

場数を踏み、失敗もし、歳を重ねて…

直感の精度を高めたい。





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