人の心に灯をともす 3078 自分の得にならないことをやる

【自分の得にならないことをやる】3078


鍵山秀三郎氏の心に響く言葉より…


資源に恵まれなかった日本人は、長い歴史を懸けて心の文化を培ってきました。

世界に誇れる精神であり、外国の人々から賞賛されてきました。

それは難しい理論ではなく、人に迷惑をかけないこと、自分のことで人に負担をかけないこと、声高に自己主張して、周囲の人を不愉快にしないことでした。


学者にしか理解できないことではなく、庶民の誰もが自然に身につけていたことでした。

「きまりが悪い、バツが悪い、世間に顔向けできない」という気持ちが普段から身についていて、卑しいことや、恥ずかしいことをしないための自制心となって働いていました。


この自制心が社会の秩序を保ち、治安を維持していました。

社会の秩序が保たれている時代は、もし自分の不注意で人に迷惑をかければ、たとえ小さなことであっても素直に謝り、相手も快く「どういたしまして」のひと言で済み、世の中はいつも平穏でした。

いまの日本人は、人に迷惑をかけても謝らず、開き直ったりすることから、それがもとで争いごとが起き、命を落としてしまうことも珍しくなくなりました。

謝らない人、許せない人、人に迷惑をかけても平気な人、いずれも心に余裕のない人が多くなり、犯罪発生の土壌となりました。


日本人の価値基準はいま、損得一辺倒となり、判断の物差しは極端に短くなりました。

目先の損か得かだけに目ざとくて、持っている物差しの短い人は卑しくなります。

短い物差しでしか測れない人は、過去を顧みる余裕はなく、未来に思いを馳(は)せるゆとりも生まれません。

あるのはいまだけ、自分だけであり、自分のことしか考えられなくなるからです。


日本をよい国にするためには、卑しい人が短い物差しで測るのではなく、鷹揚(おうよう)な人が長い物差しで測るように変えねばなりません。

人間の体に栄養が必要なように、心にも栄養が欠かせません。

体の栄養は食物ですが、心の栄養は自分の得にならないことをやることです。

得することしかやらない人は、心の栄養が欠乏して人間が卑しくなるのです。

自分にとって、何一つ得にならないことに取り組んで、心を健康にしましょう。


『平凡を極める生き方』致知出版社




「楽な生き方と手を結ばないこと。うまい話に手を出さないこと。利の多い仕事に手を染めぬこと」(石川洋)

これは、「自分に対しては、損と得とあれば損の道をゆくこと。他人に対しては、喜びの種まきをすること」というダスキンの創業者、鈴木清一氏の言葉と同じ。


「損の道をゆく」とは王道をゆくこと。

王道とは、努力多くして、「利」少ない道。

その反対の、覇道とは、努力少なくして、「利」多い道。


自分にとって、何一つ得にならないことに取り組む…

それは、人の目につかないところで行う徳積みという「陰徳を積むこと」。

見返りを求めないで徳を積むこと。

それを「天の蔵に徳を積む」という。


自分の得にならないことをやり続ける人でありたい。






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