人の心に灯をともす 3351 僕たちはどう伝えるか

【僕たちはどう伝えるか】3351



オリエンタルラジオ、中田敦彦氏の心に響く言葉より…


人間は「何を伝えるか」に心を捕らわれやすい。

どんな言葉を使うか。

それに執着してしまう。


だが、真実は真逆である。

「なにを伝えるか」よりも、「どう伝えるか」のほうが圧倒的に大事なのだ。


たとえば「愛してるよ」という言葉を伝えるとする。

スマホをいじりながら、目線を落として、疲れた声で「愛しているよ」と言う。

どう伝わるだろうか。

きっと「愛していないのだな」と思うだろう。


逆に「大嫌い」という言葉がある。

顔を赤らめて、恥ずかしそうにしながら潤んだ目で「大っ嫌い…」と言う。

どう伝わるだろうか。

きっと「大好きなんだろうな」と思うだろう。


人は聞いているようで、聞いていない。

「言葉を言っている人を、見ている」のである。


テレビロケのジャンルとして、「食レポ」というものがある。

はやりのグルメをタレントやアナウンサーが食べて、視聴者に味を伝える。

食レポが上手だと言われる人と、下手な新人タレントではまったく違う。

今度テレビで見る機会があれば注目してほしい。


なにがまったく違うのか。

「話す前の顔」なのだ。

新人は食べたあと、なにを言おうか考えてしまう。

そして、考えていることが顔に出てしまう。

そのあとで、「美味しいですね…。 外がサクサクで中がフワフワで…」と話し出す。

視聴者は違和感を抱いてしまい、その言葉が入ってこないのだ。

伝わってくるのは「美味しさ」ではなく「予定調和」である。


それに比べると、食レポの達人は、言葉を発する前から美味しそうなのだ。

匂いを吸い込んで微笑み、待ちきれないという勢いで口に入れ、噛んでいる間に目を見開き、飲み込んだ瞬間に感動したような大声で「…美味しい…」と言う。

すでに、言葉を伝える前に、美味しさは伝わっている。


これは、プレゼンでもまったく同じことなのだ。

「私の話を聞いてもらえますか?」そう言って注意を引きつけたとき、

そのときの自信のある顔や落ち着いたたたずまい。

それこそがプレゼンなのだ。


言葉を発する前に、決着はつく。

「この人がこれからする話は、おもしろそうだな」

開始10秒で観客の心を「つかむ」。

それができなければ、そのあとは長く苦しい戦いを強いられる。


一度失った興味や関心を取り戻すことは、上り坂の途中で自転車を降りてからまた漕ぎ出すように、とてつもないエネルギーが要る。

お笑い芸人だからこそ、確信を持って言える。

最初が肝心なのだ。

お笑いはまさに、それを表す言葉がある。


「つかみ」。

最初に心をつかめるか。

それはまさに、ネタ全体がウケるかウケないかを左右する、最初の大勝負なのだ。


プレゼンとは戦いだ。

聞き手の心をつかむか、それともつかみ損ねるか。

話し終わったあとに、伝わったか、伝わらなかったか、それを痛烈に感じるだろう。

勝敗が不明瞭な「芸術」ではない。

勝敗が歴然とついてしまう「格闘技」なのだ。


しかし、「言葉の格闘技」ではない。

「表現の総合格闘技」である。

総合格闘技とは、パンチやキックといった打撃技だけでなく投げ技、関節技などのさまざまな攻撃法を駆使して勝敗を競う格闘技だ。


言葉は、あくまでもその中の打撃技のひとつにすぎない。

そこに捕らわれていたら、プレゼンでは敗北するだろう。

達人は、凡人がパンチを発するよりも前に、違う技を繰り出しているのだ。


『僕たちはどう伝えるか』宝島社





「人は見た目が9割」と言われる。

アメリカの心理学者であるメラビアンによれば、見た目にとって大切なのは、表情が6割、話し方が3割、話す内容が1割、と言われる。

好印象を与える表情とは、言うまでもなく、にこやかな笑顔のこと。

しかし、いくら、笑顔があって、堂々としてはっきりとした話し方で、話の内容がよくても、人と会う時にパジャマや寝間着姿だったとしたら、誰もが好印象は持たないだろう。

つまり、見た目の大前提として、服装は大事だということ。


古来より、人に伝えること、そしてそのことによって、人に影響力をあたえることは成功者の必須の条件だった。

秀吉にしろ、信長にしろ、家康にしろ、戦国の武将たちだけにとどまらず、古今の英雄、成功者は、すべて「伝えること」の達人だった。


「魅は与によって生じ求によって滅す(みはよによってしょうじ、ぐによってめっす)」

という無能唱元氏の言葉がある。

人に与えるものはお金や物といった物質や、満足感、充足感といった心のこと。

心とは、笑顔や、相手を和ませる態度、あたたかで、やさしい気配り、あるいは、元気付けられ、勇気付けられる言葉だ。


まさに伝え方の達人は、この魅力を備えている。

人への伝え方を磨きたい。







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