人の心に灯をともす 6037 民主主義の「失地回復」
【民主主義の「失地回復」】6037
エマニュエル・トッド氏の心に響く言葉より…
私は、欧米の主流派メディアと異なり、米国でのトランプ大統領の誕生や英国のEU離脱を肯定的に評価しています。
いずれも『自由貿易から保護貿易への転換』『民主主義の「失地回復」』を体現するものだからです。
ここ三〇~四〇年にわたる新自由主義の時代は、英米―サッチャーとレーガン・・・によって始められましたが、新自由主義からの転換もまた英米によって主導されているわけです。
一七世紀末以降、世界史にリズムを与え、これを牽引してきたのはアングロサクソンの英米で、この構図は今後も大きくは変わらないでしょう。
私はフランス人ですが、個人的にも、フランスの哲学や観念論より、英米の経験主義に敬意と共感を抱いています。
この度の新型コロナのパンデミックは、何を示唆しているのでしょうか。
私は、歴史家、 歴史人口学者として「グローバリズムに対する最後の審判」だと捉えます。
ただ、新しい何かが起きたのではなく、このパンデミックが、すでに起きていたことを 露見させ、その変化を加速させている、と見るべきでしょう。
まずパンデミックが露わにしたのは、社会の「豊かさ」や「富」を示すはずのGDPなどの「経済統計」がいかに「現実」から乖離しているかです。
現代は「GDP至上主義」の時代。
しかし、「付加価値の合計」であるGDPは、比較的最近、使われるようになった指標です。
第二次大戦後の経済復興の中で、他国が米国にキャッチアップしていく過程で頻繁に用いられるようになりました。
もちろん、戦後のある時期までは、GDPも、「現実を測る指標」としての意味がありました。
ところが、産業構造が変容し、モノよりもサービスの割合が高まるなかで、次第に「現実を測る指標」としてのリアリティを失っていったのです。
例えば、米国ではとにかく裁判が多い。企業活動でも法的手続きが多い。
そこで弁護士が手にする膨大な報酬もGDP に含まれます。
それに対し訴訟も弁護士も少ない日本。
その分、日本のGDPは米国より少なく計上されることになります。
しかし、一体どちらの社会が「生産的」と言えるのか。
今回のコロナ禍は「GDP絶対視」から脱却するまたとない機会です。
この点、フランスは、興味深い典型例を示しています。
グローバリズムのゲームのルールを忠実に実行してきた国として、フランスのエリートたちは、工業で稼ぐのも、観光業で稼ぐのも、その良し悪しを問うことなく、同じようにGDPに換算できるという態度を三〇~四〇年にもわたって取ってきました。
その結果どうなったか。
今回の新型コロナではっきりしたのは、モノの生産に関しては、フランスはもはや「先進国」ではなく「途上国」だということです。
フランス人は、人工呼吸器もマスクも医薬品もつくれない自国の現実を突きつけられました。
それらは、中国やインドで製造され、国内にはもはや技術や生産基盤がない。
国内最後のマスク工場は、二年前に閉鎖されていたのです。
『老人支配国家日本の危機』文春新書
https://q.bmd.jp/91/119/7049/__no__
本書の中でエマニュエル・トッド氏は「人口問題」についてこう語っている。
『国家が思い切って積極的な少子化対策を打つこと、出生率を上げるための社会制度を整えることこそ、安全保障政策以上に、日本の存亡に直結する最優先課題だ。
私は人口学者です。
人口問題は、数十年の潜伏期を経て一気に発現してきます。
その観点から言えば、人口減少は日本にとって最大にして唯一の課題です。』
エマニュエル・トッド氏は、その対策として、第一には人口増の政策に対して有効な手を打つこと。
そして、同時に、移民を、段階的に、慎重に文化の差異に注意しながらゆっくりすすめることだという。
日本は移民に対するアレルギーが強い。
だからこそ、大事なのが「同化主義」。
同化主義とは、移民の人たちが、自国の文化を捨て、日本の伝統的な文化や日本人であることを受け入れること。
その根本は、日本語であり日本精神(やまとごころ)だ。
それは、「自然との共生」や、「八百万の神という神道的なもの」、「茶道や武道などの『礼』や『道』を重んじる考え方」、「卑怯なふるまいをしない」、「弱いものいじめはしない」、「恥を知る」、「惻隠の情」「和の精神や儚(はかなな)さへの思い」、「禅的な無常観やわびさびの考え方」、等々だ。
これらの日本的価値観を学び、それに共感した人たちだけを受け入れるということ。
今の日本にも、外国から来た人でありながら、日本人以上に、武道や、茶道、華道、禅の達人は多くいる。
結局、この日本人の核となる「日本精神」がはっきりと明示されていないので、移民をただ漠然と恐れるようになる。
また、逆に言うなら、現代の日本人こそ、日本精神(やまとごころ)を学び、身につける必要がある。
従来の大きな流れだった「グローバリズム」という価値観がトランプ大統領をきっかけとして変容しつつある。
それは国家や国民の意志とは関係なく、グローバル市場の論理が優先するということだ。
つまり、安いところ安いところへと、製品が国を超えて移転し、国内の工場がなくなってしまうという現象のこと。
また、日本精神(やまとこころ)の希薄化も、グローバリズムの一環としてある。
今、世界の大きな潮流として、グローバル経済による支配から、国民国家の意思決定を取り戻す試みが始まっている。
つまり、民主主義の再起動。
「民主主義の“失地回復”」という言葉を胸に刻みたい。
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エマニュエル・トッド氏の心に響く言葉より…
私は、欧米の主流派メディアと異なり、米国でのトランプ大統領の誕生や英国のEU離脱を肯定的に評価しています。
いずれも『自由貿易から保護貿易への転換』『民主主義の「失地回復」』を体現するものだからです。
ここ三〇~四〇年にわたる新自由主義の時代は、英米―サッチャーとレーガン・・・によって始められましたが、新自由主義からの転換もまた英米によって主導されているわけです。
一七世紀末以降、世界史にリズムを与え、これを牽引してきたのはアングロサクソンの英米で、この構図は今後も大きくは変わらないでしょう。
私はフランス人ですが、個人的にも、フランスの哲学や観念論より、英米の経験主義に敬意と共感を抱いています。
この度の新型コロナのパンデミックは、何を示唆しているのでしょうか。
私は、歴史家、 歴史人口学者として「グローバリズムに対する最後の審判」だと捉えます。
ただ、新しい何かが起きたのではなく、このパンデミックが、すでに起きていたことを 露見させ、その変化を加速させている、と見るべきでしょう。
まずパンデミックが露わにしたのは、社会の「豊かさ」や「富」を示すはずのGDPなどの「経済統計」がいかに「現実」から乖離しているかです。
現代は「GDP至上主義」の時代。
しかし、「付加価値の合計」であるGDPは、比較的最近、使われるようになった指標です。
第二次大戦後の経済復興の中で、他国が米国にキャッチアップしていく過程で頻繁に用いられるようになりました。
もちろん、戦後のある時期までは、GDPも、「現実を測る指標」としての意味がありました。
ところが、産業構造が変容し、モノよりもサービスの割合が高まるなかで、次第に「現実を測る指標」としてのリアリティを失っていったのです。
例えば、米国ではとにかく裁判が多い。企業活動でも法的手続きが多い。
そこで弁護士が手にする膨大な報酬もGDP に含まれます。
それに対し訴訟も弁護士も少ない日本。
その分、日本のGDPは米国より少なく計上されることになります。
しかし、一体どちらの社会が「生産的」と言えるのか。
今回のコロナ禍は「GDP絶対視」から脱却するまたとない機会です。
この点、フランスは、興味深い典型例を示しています。
グローバリズムのゲームのルールを忠実に実行してきた国として、フランスのエリートたちは、工業で稼ぐのも、観光業で稼ぐのも、その良し悪しを問うことなく、同じようにGDPに換算できるという態度を三〇~四〇年にもわたって取ってきました。
その結果どうなったか。
今回の新型コロナではっきりしたのは、モノの生産に関しては、フランスはもはや「先進国」ではなく「途上国」だということです。
フランス人は、人工呼吸器もマスクも医薬品もつくれない自国の現実を突きつけられました。
それらは、中国やインドで製造され、国内にはもはや技術や生産基盤がない。
国内最後のマスク工場は、二年前に閉鎖されていたのです。
『老人支配国家日本の危機』文春新書
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本書の中でエマニュエル・トッド氏は「人口問題」についてこう語っている。
『国家が思い切って積極的な少子化対策を打つこと、出生率を上げるための社会制度を整えることこそ、安全保障政策以上に、日本の存亡に直結する最優先課題だ。
私は人口学者です。
人口問題は、数十年の潜伏期を経て一気に発現してきます。
その観点から言えば、人口減少は日本にとって最大にして唯一の課題です。』
エマニュエル・トッド氏は、その対策として、第一には人口増の政策に対して有効な手を打つこと。
そして、同時に、移民を、段階的に、慎重に文化の差異に注意しながらゆっくりすすめることだという。
日本は移民に対するアレルギーが強い。
だからこそ、大事なのが「同化主義」。
同化主義とは、移民の人たちが、自国の文化を捨て、日本の伝統的な文化や日本人であることを受け入れること。
その根本は、日本語であり日本精神(やまとごころ)だ。
それは、「自然との共生」や、「八百万の神という神道的なもの」、「茶道や武道などの『礼』や『道』を重んじる考え方」、「卑怯なふるまいをしない」、「弱いものいじめはしない」、「恥を知る」、「惻隠の情」「和の精神や儚(はかなな)さへの思い」、「禅的な無常観やわびさびの考え方」、等々だ。
これらの日本的価値観を学び、それに共感した人たちだけを受け入れるということ。
今の日本にも、外国から来た人でありながら、日本人以上に、武道や、茶道、華道、禅の達人は多くいる。
結局、この日本人の核となる「日本精神」がはっきりと明示されていないので、移民をただ漠然と恐れるようになる。
また、逆に言うなら、現代の日本人こそ、日本精神(やまとごころ)を学び、身につける必要がある。
従来の大きな流れだった「グローバリズム」という価値観がトランプ大統領をきっかけとして変容しつつある。
それは国家や国民の意志とは関係なく、グローバル市場の論理が優先するということだ。
つまり、安いところ安いところへと、製品が国を超えて移転し、国内の工場がなくなってしまうという現象のこと。
また、日本精神(やまとこころ)の希薄化も、グローバリズムの一環としてある。
今、世界の大きな潮流として、グローバル経済による支配から、国民国家の意思決定を取り戻す試みが始まっている。
つまり、民主主義の再起動。
「民主主義の“失地回復”」という言葉を胸に刻みたい。
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