人の心に灯をともす 4643 台湾では、地方から5Gを始める

【台湾では、地方から5Gを始める】4643



オードリー・タン氏の心に響く言葉より…


4G技術の特徴として、光ファイバーよりかなりスピードが落ちるということが挙げられます。

つまり、自動運転で対向車と衝突した場合、衝突した車同士が4Gで通信していたら、ぶつかってからやっと「対向車とぶつかるぞ」という信号が届くという感じです。

それが5Gであれば、信号が最初に送信されるため、対向車は衝突を避けるためにハンドルを切るか、すぐにブレーキをかけることができます。

これは4Gと5Gの大きな違いです。


このような5Gを公共利用するためには、多額の設備投資を行わなくてはなりません。

これを政策として進める場合、まず4Gの利用率が比較的低い場所に5Gの設備を確保することが重要です。

要するに、ネット環境が良くない地方にまず5Gを導入するのです。

それによって、地方の人たちの学習環境や健康管理の権利を確保したり、改善することが可能になるでしょう。


これまで台湾では、地方に対しては大規模な資金を投入した設備投資が必ずしも行われてきませんでした。

しかし、5Gについては、「都市からではなく、地方から先に進める」という方式をとっていて、現在、地方での5Gチャンネルを確保するために多額の資金投入が行われています。

「なぜ、地方からなのか」と疑問を持たれるかもしれません。

まずそれについて説明したいと思います。


たとえば、これまで台湾で行われていたリモート教育は、ネットにつながっているからこそ可能になっていました。

そのために、ネット環境が整っていない山の上や離島では、これらの授業はできませんでした。

しかし、「それは公平ではない」と政府は考えました。

そのため、昨年(2019年)から政府は山岳部をターゲットに設備投資を行っています。

つまり、内政部(日本でいえば総務省)は、ヘリコプターを出動させるなど、あらゆる方法を使って、どれだけ高い山でも電波が届くようにしています。

また、今年(2020年)中には離島や海上でも電波が届くようにする予定です。


台湾にはたくさんの小島があり、小学生がカヌーを使って島々をめぐるような体験をしています。

小島の間を縫うように漕ぐのはカヌーの良い練習になります。

ただ、何かのトラブルがあった場合、陸上にいる人が助けてくれるかどうかは別にして、ネット環境を整えておかなくてはなりません。

文字どおり、それがセーフティネットになるからです。


セーフティネットが何もないと、子供たちが非常に危険な状況に置かれるケースがあるかもしれません。

でも、セーフティネットがあれば安心して探検できますし、大自然は彼らの良い先生になってくれるでしょう。

そのような体験は、人間の成長にとても貴重なものです。

そういうものが何もなければ、私たちはいつも平地の人間が作りだした建築物の中にいるだけです。

ネットにつながっているだけで、大自然の中に入り込む感覚を実感することはできないでしょう。

VR(バーチャル・リアリティ=仮想現実)はあくまでも仮想に過ぎず、大自然と同じというわけではありません。


5Gあるいは将来的には衛星を利用した6Gが出てきますが、これらの技術は渡したちが到達できる場所を拡大するだけでなく、私たちの視野を広げてくれます。

また、これは教育の非常に重要な部分です。

だから、まずネット環境が整っていない地方から始めているのです。

それによって、私たちが手にできるものは、決して小さいものではありません。


『オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る』プレジデント社
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本書の中でタン氏は「中学中退」についてこう述べている。


『私は生まれつき「心室中隔欠損症(しんしつちゅうかくけっそんしょう)」という心臓の病気を持っていたこともあり、体が弱く、感情が高ぶってしまうと顔色が紫に変色して、卒倒してしまうこともありました。

身体的に怒るということができず、学校での集団生活になじむことができませんでした。

小学2年のときにはいじめに遭ったこともありますし、私自身の性格的な問題もあって、学校でうまくいかないことも多く、その都度転校をしました。

その結果、私は3つの幼稚園と6つの小学校に通いました。

中学校には1年間だけ通いましたが、最終的には14歳で中退することになりました。

14歳で学校を離れる前、私は家族の同意を得て台北市郊外の鳥来に行き、静かな環境で過ごしました。

そこでこれからどうするかについて一人で考えたのです。

当時、私は全台湾の小中高生が参加する「全国中学生科学技術展」というコンクールの応用科学部門で1位を取っていて、自分の好きな高校に無受験で進学できる権利を得ていました。

当時行きたい高校がなかったわけではないのですが、私はすでにインターネットを利用して自らの興味に従って研究を進めていました。

当時、私が研究していたのはAIやAIの自然言語処理に関する最先端技術でした。

その研究課程で多くの研究者と出会い、インターネットを介して対話をしていました。

そのため、学校の授業で学ぶ内容がウェブで学べる最先端の知識より10年ほど遅れていることにすぐ気づきました。

それならば学校へ行くより、直接ウェブから学べばいいのではないかと考えるようになったのです。

その頃の友人は皆、私より5歳から10歳も年上でした。

中学を退学することについて、母は最初から賛成でしたが、父は反対しました。

しかし、家族は校長先生を尊敬しており、その校長先生が「大丈夫」と言ったので父は何も言いませんでした。

あとで聞いたところでは、父は校長がそのような考えを受け入れてくれるかどうかを確認したかっただけだったそうです。

私の考えを支援してくださった校長先生には、心から感謝しています。』



また、タン氏は、「年齢の壁を越えて若者と高齢者が共同でクリエイトする」という「青銀(せいぎん)共創』という試みにが盛んだという。

これは青年(青)と年配者(銀)が共同でクリエイトしてイノベーションを行っていくもの。

年配者は若者から、「今のデジタル社会と、どうコミュニケーションをとっていけばいいか」を学び、若者は年配者の知恵や経験を学ぶ。

ようは、年配者と若い人がお互いに学び合うしくみだ。



タン氏は現在、台湾の行政院(日本でいう内閣)の閣僚のひとりで、デジタル担当の政務委員(大臣)を務めている。

中学中退であり、トランスジェンダーでもあり、IQ180の天才でもある。

「世界の頭脳百人」(Foreign Policy)にも選ばれた。

中学中退とともに、ビジネスの世界に飛び込み、19歳で創業してネット企業の社長も経験している。

アップルのデジタル顧問となり「時給=1ビットコイン」(当時は1ビットコインが5,6万円で、現在は約400~600万円)の契約を結び、若くして成功を収めた。

33歳でビジネスからのリタイアを宣言し、2016年から蔡英文政権に招かれて35歳で史上最年少の大臣となり、政治の世界に転身したという華々しい経歴の持ち主だ。


タン氏のような異才を政府の中枢に抜擢する台湾。

その懐の深さこそが、これからの大変化を乗り切るための大きなパワーとなる。

AI革命は、あたかも明治維新クラスの大変革だ。


今までの固定観念や偏見を捨て、老いも若きも、このAI革命に身を投じたい。





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