人の心に灯をともす 5912 新自由主義の終わりと日本の復活

【新自由主義の終わりと日本の復活】5912



齋藤ジン氏の心に響く言葉より…



新自由主義は、個人のあり方、社会国家の存在意義、その両方において土着の「古臭い」属性や価値観からの解放であり、グローバル市民が同じ土俵の上で自由に競争する世界を目指す壮大な実験でした。

また、新自由主義は、製造コストの安い国に積極的に生産拠点を移転することが「正しい」という前提に基づく世界観です。


すなわち、国際企業は、付加価値の低い製品の生産をより労働コストの安い海外に移管する強いイン センティブを持ちます。

世界中どこでも、優れた品質の部品を一番安く作ることができるプレーヤーをサプライチ ェーンに取り込む結果、従来ではありえない価格で高性能な製品を提供することができます。


例えば米国企業である Apple社のiPhoneは、設計など付加価値の高い部分は米国で行いますが、付加価値の低い部品製造や組み立てなどは海外の工場で行います。

生産を委託された中国も経済が成長するのでiPhoneを買うようになります。

世界が一つの市場になり、2001年に今や14億の人口を持つ中国がWTO (世界貿易機関)に加盟すると、繊維、製鉄、造船といった産業が順次、中国に集中するようになりました。

中国がわずか数十年で世界の工場になったのは、この世界観の前提なしには説明できません。


しかし今、トランプはこの新自由主義の前提を壊そうとしています。

なぜでしょうか?

製造部門を海外に移転した国際企業の収益は高まり、株価も上昇しますが、彼らはアメリカでの雇用を拡大しないので、その富はアメリカ国内にほとんど分配されません。

アメリカ中西部のラストベルトと呼ばれる地域では、製造業に従事し中産階級であった国民の生活水準が劣化し、合成麻薬フェンタニルの中毒患者が蔓延しました。

彼らの悲鳴は新自由主義を信じるワ シントンのエリートたちの耳には届きませんでした。

しかもエリートたちは 世界市民的な価値観を振りかざし、キリスト教的な世界観やその土地の伝統的な家族観や男女の役割などを、前近代的だと決め付け、行動変容を迫りました。

この「取り残された」アメリカ人の怒りが臨界点に達していることに気づき、爆発的な政治的エネルギーに転換させることに成功したのがトランプです。


この流れを理解すると、トランプの「過激」な言動の背景が見えてきます。

例えば、メキシコ、カナダ、中国に対し、フェンタニル規制が不十分だとして関税を課しました。

またトランプはハーバードを筆頭としたアイビーリーグの大学への攻撃を強めています。

大学は新自由主義的なグローバリズムの美徳を訴え、DEI (多様性、公平性、包括性)を推進し、海外、特に中国からの留学生を多く受け入れてきました。

大学の総長の仕事は国際企業のCEOのようであり、留学生は 満額の授業料を払ってくれるいいお客さんでもあるのです。


一方で、一流私立大学の授業料はインフレ率を遥かに上回るペースで上昇し続け、奨学金を返済できない大卒者の問題があります。

つまり効率的なサプライチェーンだけでなく、大学も麻薬ネットワークもグローバリズムを前提とした社会・経済システムが出来上がっているのです。


グローバリストはいい生活を続けることができますが、製造業雇用の喪失、 合成麻薬の蔓延、高額な大学授業料など、そのコスト負担は「取り残された」人々にしわ寄せされてきました。

しかも、新自由主義的なシステムの最大の受益国である中国は、培った富を使って軍備を拡張し、アメリカの安全保障上の脅威となりました。

私自身は、アメリカの私大で学び、 グローバリストとして生活の糧を得て、DEIの恩恵を受けてきましたが、「取り残された」人々の言わんとすることもよくわかります。

グローバリストはトランプ氏とその支持者をモンスター扱いしますが、もし彼らがモンスターであるとすれば、それは新自由主義の生んだ「フランケンシュタインの怪物」、つまり頭でっかちのエリートの傲慢な実験の帰結と言えるかもしれません。


アメリカが新自由主義とは異なる前提を置くようになる。

これは30年ぶりに日本に追い風をもたらす「天の時」です。

トランプが志向している新しい前提のすべてが、アメリカ、あるいは世界の秩序として定着することはないでしょう。

ただ、次の大統領選挙で誰が選ばれるのかはわかりませんが、変わらないであろう大きな政策の方針が2つあると思います。

その一つは、中産階級の製造業を国内回帰させる努力。

もう一つは中国の封じ込めです。


最初のポイントは、世界のサプライチェーンの再構築を意味します。

では、アメリカはどこから、何を戻すでしょうか?

この問いの回答は2つ目のポイントに直結します。


第1次トランプ政権が 中国の脅威を直視したとき、アメリカ は愕然としました。

アメリカには頭脳 や神経細胞にあたる高付加価値の産業はありますが、骨や筋肉に相当する製造部門が残っていなかったのです。

中国製品がありとあらゆるサプライチェ ーンに組み込まれ、北京が輸出を停止すれば、アメリカは鉄も船もつくれない国になっていました。


そこでトランプがまず始めたのは、 半導体生産から中国製品を追い出すことでした。

バイデン前大統領はその方針を継続し、さらに強化しました。これは安全保障関連製品から中国を排除 する動きが、アメリカの国策であることの証左です。 アメリカがこの国策を追求するならば、日本の重要性は圧倒的で、「地の利」が生まれます。

中国を封じ込めるなら、 日本なしには対中戦略を立てられない のです。

同じ同盟国でも、欧州と対比して、日本が大事にされているのは明らかです。

しかもアメリカの製造業は、非常に痩せている骨川筋右衛門の状態なので、日本と一緒に安全保障関連の製造業を復活させる強いインセンティブを持ちます。

トランプが日本製鉄によるUSスチールの買収を認めた背景がここにあります。

兵器、造船など、安全保障にかかわる製造業の基本に鉄がありますが、アメリカには高品質の鉄を作る技術もノウハウもないからです。


『2025年の結論「今こそ日本人が儲けるチャンス」 お金のいい話』PRESIDENT
https://q.bmd.jp/91/119/4895/__no__





齋藤ジン氏は「これから日本経済は大復活する」という。

それは、「新自由主義」というグローバリズムの流れが変わるからだ。

その中心にあるのがトランプ旋風。

まさに、今、パラダイムシフトが起きている。


パラダイムシフトとは、その時代や分野において当然のこととして考えられてきた価値観や思想が、革命的に、劇的に変化することをいう。

科学史家のトーマス・クーンが提唱した概念だ。

今までの常識や、固定観念、そして、旧態依然とした考え方があっという間にくつがえる。



我々は長い間、新自由主義やグローバリズム、そしてDEIという価値観を信奉してきた。

DEIとは 「Diversity(ダイバーシティ、多様性)」「Equity(エクイティ、公平性)」「Inclusion(インクルージョン、包括性)」の頭文字からなる略称だ。

トランプ政権は、就任初日に「性別は男性と女性の2つだけ」という大統領令を出した。


多様性の見直しの一環だ。 今後のトランプ政権、そして新自由主義の行方を注視し・・・

「日本の復活」という言葉に希望を見出したい。





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