人の心に灯をともす 5678 「運」に感謝する

【「運」に感謝する】5678



ロバート・H・フランク氏の心に響く言葉より…


アメリカの作家、マイケル・ルイスはプリンストン大学の2012年度卒業生学位授与式でスピーチした。

自分が作家として成功し金持ちになった一連の思いがけないできごとについて、こう語っている。


『ある日わたしは夕食会に招かれ、大手投資銀行ソロモン・ブラザーズの大物の夫人のとなりに座りました。

夫人はいくぶん強制するように、わたしに仕事をあげて、とご主人に言いました。

わたしはソロモンについてほとんどなにも知らなかったのですが。

ウォール街はちょうどそのころ、わたしたちがいまよく知るウォール街へと変わりつつあり、ソロモンもその渦中にありました。

ソロモンで働き始めたわたしはたまたま、マーケットがどんどんと過熱していく様を目の当たりにできる仕事を与えられ、デリバティブ(金融派生商品)の専門家になりました。

1年半後には、投資家にデリバティブについて助言し、ソロモンから何十万ドルもの小切手を受け取るようになっていたのです。』


1989年、ソロモンでの経験をもとに、ウォール街の財政戦略の新しい波がいかに世の中を変えているかについて書いたルイスの小説は、記録的なベストセラーとなった。


『「ライアーズ・ポーカー」(角川書店)はミリオンセラーになりました。

28歳のときのことです。

わたしはキャリアと、ちょっとした名声と富、そして新しい人生の物語を手に入れました。

人々はにわかに、わたしのことを生まれついての作家であるかのごとく言い出しましたが、そんなはずはありません。

わたしは気づいていました。

この講演のテーマでもありますが、成功はひとえに運のおかげなのだと。


夕食会でソロモンの重役の夫人のとなりに座る確率はどのくらいでしょう?

時代を象徴する物語が描ける、ウォール街一の企業に入れる確率は?

市場の過熱を目の当たりにできるポジションを得る確率は?

わたしを勘当せずに、ため息をついて「どうしてもって言うならやってみなさい」と言ってくれる両親をもつ確率は?

そもそもプリンストン大学に入れる確率は?


わたしはたんに謙虚なふりをしているのではありません。

理由があって謙虚でいるのです。

成功がいつも後追いの理由によって合理化されてしまうことは、わたしの例からもわかります。

わたしたちは、成功を運によるものだと思いたくないのです。

成功者ならなおさらでしょう。

年をとり、成功を重ねると、なぜか自分の成功は必然だったと思うようになります。

偶然が果たす役割を認めたくないのです。』



『成功する人は偶然を味方にする』日本経済新聞出版社
https://q.bmd.jp/91/119/847/__no__




本書にはこんなフレーズが書いてある。


■才能があっても努力しても、運なしでは勝てない

■就職活動は運次第

■ヒットするかどうかも偶然

■不運もめぐりめぐって成功に

■情報革命でますます強まる「偶然」の力

■運への感謝は人を変える

■運に感謝すると、自分の評価が上がる


いつも謙虚な人は、うまくいったことは、「運がよかったから」と思う。

傲慢(ごうまん)な人は、うまくいったことは、「自分が努力したから」と思う。

どちらの人が、「運」から好かれるか、ということだ。

「運」から好かれる人は、「おかげさま」の心をもっている。

それは、「運」に感謝しているということ。


「いいことはおかげさま 悪いことは身からでたさび」(相田みつを)という言葉を胸に刻み…

運に感謝し、謙虚な気持ちを忘れない人でありたい。





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