人の心に灯をともす 4626 自分は自分の主人公

【自分は自分の主人公】4626



藤尾秀昭氏の心に響く言葉より…


東井義雄(とういよしお)さんは明治45年、兵庫県の担東(たんとう)町に生まれた。

昭和7年、姫路師範学校卒業。

故郷の小学校に勤務。

以来、その生涯を小中学生の教育に捧げた人である。


東井さんは語る。

人間は5千通りの可能性を持って生まれてくる。

死刑囚になる可能性も泥棒になる可能性もある。

その5千通りの可能性から、どんな自分を取り出していくか。

「世界でただ一人の私を、どんな自分に仕上げていくか。その責任者が私であり、皆さん一人ひとりです」



「バカにはなるまい」…講演の中で東井さんはそう繰り返し、一人の知的障害を持った中学生の詩を紹介している。


私は一本のローソクです

もえつきてしまうまでに

なにか一ついいことがしたい

人の心に

よろこびの灯をともしてからに死にたい



彼は勉強はできないが、何か一ついいことをしたいと頑張っている。

これが賢い生徒。

ところが、少し勉強ができてもバカがいる。

ある中学生が下校の途中、通せんぼをした保育園の幼児に腹を立て、刺殺する事件が起きた。

一度家に帰って刃物を持って引き返しての犯行。

なぜ、やめとけとブレーキがきかなんだのか。

彼は自分で自分を人殺しにした…東井さんの涙を流して発した痛憤である。


木村ひろ子さんは生後間もなく脳性マヒになった。

手足は左足が少し動くだけ。

ものも言えない。

しかも3歳で父が、13歳で母が亡くなった。

小学校にも中学校にも行けなかった。

わずかに動く左足に鉛筆を挟んで、母に字を習った。

彼女の詠んだ短歌がある。


『不就学(ふしゅうがく)なげかず左足に辞書めくり漢字暗記す雨の一日を』


左足で米をといでご飯を炊き、墨をすって絵を描き、その絵を売って生計を立てた。

自分のためにだけ生きるなら芋虫も同じと、絵の収入から毎月身体の不自由な人のために寄付をした。

彼女はいう。

「わたしのような女は、脳性マヒにかからなかったら、生きるということのただごとでない尊さを知らずにすごしたであろうに、脳性マヒにかかったおかげさまで、生きるということが、どんなにすばらしいことかを、知らしていただきました」


私たちは眠っている間も息をしている。

心臓の鼓動も自分が動かしているわけではない。

死ぬほど辛いことがあっても、胸に手を当てた時、ドキドキしていたら、「辛かろうが、しっかり生きてくれよ」と仏さまの願いが働いていてくれる、と考え直してほしい。

願われて生きている自分であることを忘れないでほしい…東井さんがすべての人に託した心願である。


最後に、東井さんの言葉をもう一つ。

「自分は自分の主人公、世界でただひとりの自分を創っていく責任者」


『小さな人生論4』致知出版社
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五体満足なのに、人を殺めたり犯罪を犯す者がいる。

反対に、目が見えず、耳がきこえず、話せないという三重苦のヘレン・ケラーのように感謝の心を持って、他人のために生きた人もいる。


彼女はこう語っている。

「私は自分の障害に感謝しています。自分を見出し、生涯の仕事に出会えたのもこの障害のおかげだからです。」

「人生がもっとも面白くなるのは、他人のために生きている時です。」

「悲しみと苦痛は、やがて人のために尽くす心という美しい花を咲かせる土壌だと考えましょう。心を優しく持ち、耐え抜くことを学びましょう。」


「自分は自分の主人公、世界でただひとりの自分を創っていく責任者」

どんな境遇にあっても、目の前にいる人を大事にし、感謝の心で生きる人でありたい。





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