人の心に灯をともす 4737 自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ

【自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ】4737



広島県教育委員会教育長、平川理恵氏の心に響く言葉より…


2020年3月現在、広島県の教育長に就任し約2年が経とうとしています。

どうか?と聞かれれ ば、「もっとカタくてガチガチだと思っていたら、結構いろいろできるじゃん!」というのが感想です。

心の声に従い、思ったことをズバズバ言うので広島県教育委員会のスタッフには苦労をかけていると思いますが、私自身は毎日楽しく仕事をさせてもらっています。

これまでどんどん改革をしてきました。

気づいたところから「とにかくどんどん」という感じです。


現場主義を掲げ学校現場の訪問を重ねたり、「教育長と呼ばないで」と上意下達な組織をフラット化したり、新しい組織を立ち上げて今までの人事とは違う形で引き上げたり、現場の先生や指導主事を連れて国内外一緒に行って将来の教育の姿を見せて一緒に指導案まで考えたり、文部科学省にガンガン意見を言ったり...。

やり過ぎで怒られるかな?と心配することもありますが、案外怒られるときは「え? そこですか?」と拍子抜けするようなことで、本筋からは離れていると思います。

それもそうだし、多 少怒られたってかまわないのです。

変化の時はそのくらいじゃないと変えるエネルギーには変換されないのではないでしょうか。


教育長就任1年目に「2学期末までに県立103校、3市町全部の学校をまわる!」と宣言しました。

校長会ではこの宣言と共に「突然行くこともあります」と予告もしておきました。

本当に横を通ったからと突然行くこともあります。最初の頃は秘書に「今日、教育長は東西南北どっち方面? まさかうちの学校に今日、来ないよね?」と問い合わせがあったとも聞きます。

これまでは、教育長の学校訪問はかなり前に伝えておいて、準備に準備を重ねてお迎えしていたらしいのです。

しかし、そんなことでは現状はわかりません。

準備と言っても学校が大変になるくらいなんだから普段通りの学校を観せてもらいたいのです。


学校訪問の際には、到着し次第、すぐに授業を観せてもらいます。

昇降口、トイレ、保健室、図書室、 特別教室、事務室、職員室はもちろん、倉庫まで観ることもあります。

1校につき1時間くらいしか訪問時間は取れませんが、これだけの数を訪問すると、入った瞬間にその学校の雰囲気や活気を感じとれるし、自然と問題のあるところに足が向きます。

大方の学校は大変頑張っているのですが、時には「ややっ!」と「家政婦は見た」状態になることも あります。

学校を観させていただいた後、管理職だけでなく主幹教諭も交え、良い部分はほめる一方で 「この辺りはどうか?」と忌憚なく問題提起することもあります。


このやり方は教育長になって始めたことではありません。

民間人校長時代から毎日1コマは20分フルで授業を観察し、同じようにほめるところはほめ、改善点があれば思った通り先生にお伝えしてきまし た。

視点は常に「私が児童生徒だったらどう思うか?」です。


「ややっ!」と思うことは、大きなことから細部まであります。

言いづらいことも思い切って言います。

子供たちのために、ここは遠慮してはいけないのです。

「この学校の子供たちはあまりかわいがられてないように思います。

校長先生ご自身、もっと子供たちの中に入っていってください。

ご自身の担任時代を思い出してください。

もっと一人ひとりに寄り添っていたはずです」と伝えたこともあります。

また、学校訪問した際、ここが学校をよりよくするポイントだという「スイッチ」を探し当てるようにしています。

そこに対してこれまでのやり方に拘泥せず、集中特化して「政策を立てる」のが教育委員会の仕事ではないかと思うからです。


どんな組織もトップが普段何を考え、何を目指しているのかをメンバーに伝えることは、組織の心をひとつ、にするために重要であると思います。

とはいってもなかなか全員を集めて話せる場も少ない のが現状です。そこで、教育委員会各所のトイレや執務室にA4一枚手書きカラーの「平川通信」を出すことにしました。

下手ながらもイラストを描き、写真も入れた、かなりユルい形の瓦版です。

ポイントはちょうど「目線の位置に貼る」ことです。

精読率は抜群!

おおよそ2週間に1号出しています。

実は、この手法はリクルート創業者江副浩正さんの実践でした。

私のトイレ新聞の内容は、学校訪問で感じたことや児童生徒、先生たちの頑張りや様子が中心で教育委員会で机に向かっていると、どうしても「誰のために何を」やっているのかわからなくなるものです。

教育委員会のスタッフすべてが広島県の子供たちのための仕事なのだと原点回帰することが大切です。


「平川通信」に「教育長って呼ばないで!」 と書いたこともあります。

「“平川さん” “理恵さん”と呼んでください。もちろん 職責は全うしますが、役割の前に私は“平川理恵”です。社長時代も校長時代も“理恵さん”と呼ばれることが多く、この4月から職名で呼ばれることに違和感がありました。もちろん職名で呼ばれても “ハイ”と言いますが......なるべくよろしくお願い します。ぺこり」と正直な気持ちを書きました。

今では「平川さん」「理恵さん」と 呼んでくれる人も多くいます。


教育委員会は「上意下達」ゆえに教育長 の命は絶対!と、大変機能的に組織ができています。

管理型社会ならそれでもいいかもしれませんが、これからはクリエイティブ型組織がいいとされています。

時代は上下の関係ではなく、緩やかにつながっているネット型。

上下関係の組織ではクリエイティブな考えは生まれにくい、と思います。

文部科学省があって教育委員会があって学校がある......といった上意下達な考えや文化を捨て去るところからではないかと思います。


どっちがエラいとか、どっちが下だとかはないのです。

機能ごとに仕事をしているのです。

これからの時代、組織文化を変えることは大変重要ではないでしょうか。


また、アリバイづくり?のようなアンケートや、形だけの外部有識者会議、例年やってる事業だが中味のないものについては、バシバシとメスを入れています。

「こんな計画に広島県の税金使えないよ。県民が聞いたら怒るでしょう? 私フツーのおばさんの感覚で言ってるだけだけど」と厳しく言うこともあります。

「だって、私が生徒だったら嫌だから」とか「自分の子供がそんなことされたら許せないでしょ」とか、多少子供じみていても、おかしいことはおかしいと言います。

教育委員会のスタッフは、 初めはびっくりしていましたが、最近は「よく考えたらそうですよねえ」と納得してくれています。(と思います。微笑。)


「日本は、着るものや食べるものはたくさんのチョイス(選択肢)があるのに、どうして教育だけはこんなにチョイスがないのだろう?」。

ずっとそう思い続けてきました。

「この地域に住んでいるから、この学校。もしくは私立に行くしかない」という感じです。

しかし、私立に行ったところで、日本の学習指導要領と教科書に基づく授業なので、進度や集まってくる子供の質は違うのでしょうか、そんなに大きく変わりはしません。

確かに、今のやり方で日本の教育は大変な成果を上げてきました。PISAやTIMSSの調査だっていつも上位にいます。

しかし、「クリエイティビティ」や「ヤル気」が重要視されているこの時代に、 教育が「多様」ではなく「1つ」しかないのは良くありません。

今のやり方で8~9割の子供はいいで しょうが、残り1~2割の子供は違ったやり方でやったほうが伸びる場合もあると考えます。


そこで、広島県では今年度からチョイスを作りました。

まずは、昨年2019年4月に開校した広島叡智学園です。

大崎上島という瀬戸内海に浮かぶ風光明媚な場所に、IB(インターナショナルバカロ レア)校で、全寮制の中高一貫校を立ち上げました。

広島県内の子供だけでなく、さまざまな地域からという点で多様な子供も来ます。

また、2019年度より「個別最適な学び担当」を新設し、Society5.0に向け、小学校において「異年齢学級」「個別最適化(アダプティブ)」な教育課程編成を日本の学習指導要領下で行う研究を始めていて、福山市の常石小学校で日本初の公立イエナプラン小学校が誕生することになっています。


今の日本のやり方にNOを出している不登校児童生徒や異彩を放つ子供たちへも、小中学校での「特別支援教室の設置」や「東大ロケット in 広島」(Activity Based Learning)という形で取り組んで為 います。

その他、全ての県立学校に地域住民などと力を合わせて学校の運営に取り組むことが可能になるコ ュニティ・スクールを導入しました。

昨年度まで0%だったのですが、今年度100%になり、学校に とって「辛口の友人・最大の応援団」となってくれ始めています。


その他、図書館改装、英語教育改革、 高校入試の改善、高校教育課程の見直し、ICTの1人1台のためのBY ADE化 (Bing Your Authorized Devices)、小児がんの生徒のための遠隔授業単位認定など、同時多発的にどんどんと進めています。

さまざまな考え方はあるとは思いますが、やってみなければわかりません。

PDCAサイクルとトライの精神が大切でしょう。


イエナプランだって、オランダのものをそのまま持ってくるなんてさらさら考えていません。

仮に広島県内でいくつか取り組みを行うにしても、地域や学校の事情や特徴があるのだから、いろんな形のイエナプラン校ができてもいいと思っています。

そういう工夫が、きっと将来先行きの不透明なこの時代を生き抜いていく子供たちの人生にとって、トライアンドエラー(トライして修正し、また検討の繰り返し)がいかに大切かの精神を体感し、そして自分のものにしていってくれるものと信じています。

多様な子供たちのために「教育にチョイス(選択肢)を!」に向け果敢に挑戦していきたいと思います。


私には信じていることがあります。

それは「人間が決めたことは、人間によって必ず変えられる」ということです。

行政はすぐに「条例があるので無理です」とか、小難しいことをもっともらしく言いますが、「だったら条例を変えるか、解釈を見直せないか考えてみてください」が私の返答です。

子供たちの未来のために、今後も果敢にそして真っ直ぐに挑戦していきたいと思います。


「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」は旧・社訓でリクルート創業者・江副さんの言葉です。

この言葉を胸にこれからも頑張っていきたいと思います。


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先日、講演(第3回学習デザイン研究会全国大会)で平川氏の講演を聞き、あまりに感動したので今回、ブログとしてまとめてみた。


平川理恵氏は京都市生まれで、同志社大卒業後、1991年にリクルートに入社した。

リクルートから南カリフォルニア大学へ企業派遣生として留学し、MBAを取得し帰国。

その後、リクルートを退職し、留学仲介会社を起業し、10年間黒字経営を貫き、事業売却。

2010年に公募で全国初の女性公立中学校民間校長として横浜市立市ヶ尾中学校に着任。

文部科学省中央教育審議会の各委員を歴任し、広島県の湯崎英彦知事から強く要請され、2018年4月広島県教育委員会教育長に就任した。


中学の校長時代は、授業をベースとした学校づくり、コストの見直し、アクティブラーニング、カリキュラムマネジメント、キャリア教育に魂を入れ直す、社会に開かれた教育課程、合理的配慮を学校経営の主軸に、働き方改革、うつ病を出さない職員室づくり、教職員のキャリア開発、保護者とは対等の立場で対応することなど、いいと思ったことはすべて、すぐに実行したそうだ。

コロナ前に、(コロナを予見していたわけではないが)ICTの1人1台のためのBY ADE化をしてあったため、コロナ禍でのリモート授業にはスムーズに移行できたという。


また、日本はいずれの項目においても9ヵ国(インド、インドネシア、韓国、ベトナム、中国、イギリス、アメリカ、ドイツ)中で、圧倒的な差をつけられて最下位となった。

その項目とは、「自分を大人だと思う」「自分は責任がある社会の一員だと思う」「将来の夢を持っている」「自分で国や社会を変えられると思う」「自分の国に解決したい社会課題がある」「社会課題について、家族や友人など周りの人と積極的に議論している」。

如何に、自分に自信がないか、夢や希望を持っていないか、創造力に欠けているか、社会性が足りないか、責任感が足りないか、ということだ。

これは、何も、子供たちだけの問題ではなく、大人にもまったく同じことが言える。

これらを変えていくのは、教育を変えるしかないと、平川氏は言う。

そうでないと、日本は永遠に最後尾をトボトボと歩くような後進国になってしまうという、危機感がある。


「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」

すべての変革は、まさにこの言葉に凝縮されている。

自ら動き、殻を打ち破り、変革をおこせる人でありたい。





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