人の心に灯をともす 4801 「好きなことが仕事になる」というウソ
【好きなことが仕事になる】4801
本田直之氏の心に響く言葉より…
若い人向けの本を読んでいると、よく「好きなことを仕事にしよう!」というフレーズ を目にします。
耳心地のいい言葉ですし、たしかに好きなことを仕事にできたら幸せになれそうな感じがします。
でも、わたしはこの言葉自体が好きではありません。
なぜかと言うと、「好きなことを仕事にしよう!」というアドバイスが無責任な一種のまやかしだからです。
例えば、ここにサーフィンが好きな若者がいたとしましょう。
彼は海の近くで、好きなサーフィンを感じながら働きたいとサーフショップの店員になったとします。
わたしもサーフィンが趣味で、ハワイでは毎日のように楽しんでいるほど大好きです。
でも、もし若い頃にサーフショップの店員になっていたら、確実にサーフィンが嫌いになっていたと思います。
なぜなら、サーフィンが好きな人が第一に考えるのは、「波がいい時にすぐ海へ行きたい」「そのために波のあるところの近くに住みたい」ということだから。
サーフショップはたしかに海の近くにあります。
でも、店員になってしまった以上、 どんなにいい波がきても営業時間中に店を抜け出すことはできません。
売上を伸ばすためには好きでもないメーカーのサーフボードを売らなければいけない場面も出てくるでしょう。
なにより生活の糧を得るためにサーフィンを我慢して、サーフィンのできる環境の中で店にいなければいけないのです。
つまり、彼は好きなことを仕事にするという手近な選択肢を手にしてしまったことで、 逆に好きなことから遠のいてしまったわけです。
サーフィンが好きでライフスタイルの中心に置きたいのなら、まず考えるべきなのは、 いい波が来た時にすぐ海に行ける自由さと、海の近くに住まいを構え、都市部へ出勤しなくてもいい生活をどう組み立てていくか。手に入れたいライフスタイルを実現するための仕事を探すこと。
また、「旅行が好きだから旅行代理店を第一希望に面接を受けています」という就活生と会うこともあります。
この発想もまた短絡的すぎて、わたしは理解できません。
たしかに旅行代理店に就職し、ツアーコンダクターになれば旅行はできます。
ただ、ツアーに参加する人たちの多くは旅慣れないお客さんたちです。
彼らを通り一遍の観光地へと案内する仕事が、旅好きを満足させるとは思えません。
むしろ、仕事でする決まりきったツアーを重ねるうち、旅そのものを嫌いになってしまうのではないでしょうか。
《好きなことを仕事にするのではなく、好きなことが仕事になる》
ここでも選択肢としては、きちんと休暇の取れる別の仕事を持ち、自由な旅を大切にするライフスタイルの方が幸せに近づくはずです。
そして、そのライフスタイルを続けるうちに、旅を通じて得たさまざまなインプットが自分のスキルと組み合わさり、好きな遊びが仕事になるということが起こります。
好きなことを仕事にするのではなく、好きなことが仕事になっていくのです。
わたしの場合、旅を通じてさまざまな国や地域の食を楽しむうち、日本やハワイの飲食店にアドバイスをするようになり、今では海外に進出するレストランの顧問も務めています。
「好きと仕事の関係で大前提となるのは、いきなり好きなことを仕事にしてはいけないということです。
まずは個人としてきちんと稼げるビジネスのスキルを身につけ、好きなことを趣味として自由に楽しめるライフスタイルを作りあげていきましょう。
それができていないまま「好きなことを仕事にしよう!」「嫌いなことはしたくない!」と理想を追いかけても、道は開けません。
「わたしは若い時からずっと仕事と遊びの垣根をなくすことを目指してライフスタイルを 築いてきましたが、それは最初からすぐにできることではありません。
時間をかけて準備をし、少しずつ移行していくというのが実現可能な方法です。
人生には何かに焦点を合わせて、徹底的にがんばる時期が必要です。
「今が楽しければいい」と思って刹那的に生きていたら、何の能力も身につきません。
自分に必要な能力を身につけてからでも、人生はたっぷり楽しめます。
『何を捨て 何を残すかで 人生は決まる』青春出版社
https://amzn.to/3CfvF6L
「好きなことを仕事にするのではなく、好きなことが仕事になる」というアプローチとは別に、「今やっている仕事を好きになる」という道もある。
本田静六氏のいう「仕事の道楽化」だ。
『人生の最大幸福はその職業の道楽化にある。
富も名誉も美衣美食も、職業道楽の愉快さには遠く及ばない。
職業の道楽化とは、学者のいう職業の芸術化、趣味化、遊戯化、スポーツ化もしくは享楽(きょうらく)化、であって、私はこれを手っ取り早く道楽化と称する。
名人と仰がれる画家、彫刻家、音楽家、作家などが、その職業を苦労としないで、楽しみに道楽としてやっているのと同様に、すべての人がおのおのその職業を、その仕事を道楽にするということである。
職業を道楽化する方法はただ一つ勉力(べんきょう)にある。
あらゆる芸術と同じく、はじめの間こそ多少の苦しみはあるが、すべての歓喜も幸福も努力を通してはじめて得られることを自覚し、自分の職業を天職と確信し、迷わず専心努力するにおいては、「断じて行えば鬼人も之を避く」とか、「精神一到(いっとう)何事か成らざらん」といわれるとおり、いずれ必ず仕事がよくわかってきて上手になる。
上手になるに従い、はじめは自己の性格(しょうぶん)に適していなように思われた職業も、しだいに自分に適するようになり、自然と職業に面白味を生じる。
一度その職業に面白味を持てば、もはやその仕事は苦労でなく道楽に変わる。』(本田静六 成功するために必要なシンプルな話をしよう/知的生き方文庫)
つまり、たまたまの縁で出会った仕事を「好きになる」という方法だ。
人生は、思いがけない偶然の積み重ね。
子どもの頃からの夢が実現するなどということは、まず普通の人には起こらない。
目まぐるしく変化する時代においては、自分が意図しない仕事に就くことは珍しくない。
だからこそ、その偶然に出会った仕事を好きになることも必要なのだ。
「置かれたところで咲きなさい」ということ。
そういう生活の基盤ができたうえで、自分の好きなことを同時にやっていく。
そして、大事なことは、その好きなことを発信することだ。
発信しなければ誰もそのことを知る術(すべ)がない。
だが、長くそのことをアウトプットし続けていると、それが思いがけなく仕事になることがある。
現代のSNSの威力だ。
好きなことが仕事になるような人生は素敵だ。
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本田直之氏の心に響く言葉より…
若い人向けの本を読んでいると、よく「好きなことを仕事にしよう!」というフレーズ を目にします。
耳心地のいい言葉ですし、たしかに好きなことを仕事にできたら幸せになれそうな感じがします。
でも、わたしはこの言葉自体が好きではありません。
なぜかと言うと、「好きなことを仕事にしよう!」というアドバイスが無責任な一種のまやかしだからです。
例えば、ここにサーフィンが好きな若者がいたとしましょう。
彼は海の近くで、好きなサーフィンを感じながら働きたいとサーフショップの店員になったとします。
わたしもサーフィンが趣味で、ハワイでは毎日のように楽しんでいるほど大好きです。
でも、もし若い頃にサーフショップの店員になっていたら、確実にサーフィンが嫌いになっていたと思います。
なぜなら、サーフィンが好きな人が第一に考えるのは、「波がいい時にすぐ海へ行きたい」「そのために波のあるところの近くに住みたい」ということだから。
サーフショップはたしかに海の近くにあります。
でも、店員になってしまった以上、 どんなにいい波がきても営業時間中に店を抜け出すことはできません。
売上を伸ばすためには好きでもないメーカーのサーフボードを売らなければいけない場面も出てくるでしょう。
なにより生活の糧を得るためにサーフィンを我慢して、サーフィンのできる環境の中で店にいなければいけないのです。
つまり、彼は好きなことを仕事にするという手近な選択肢を手にしてしまったことで、 逆に好きなことから遠のいてしまったわけです。
サーフィンが好きでライフスタイルの中心に置きたいのなら、まず考えるべきなのは、 いい波が来た時にすぐ海に行ける自由さと、海の近くに住まいを構え、都市部へ出勤しなくてもいい生活をどう組み立てていくか。手に入れたいライフスタイルを実現するための仕事を探すこと。
また、「旅行が好きだから旅行代理店を第一希望に面接を受けています」という就活生と会うこともあります。
この発想もまた短絡的すぎて、わたしは理解できません。
たしかに旅行代理店に就職し、ツアーコンダクターになれば旅行はできます。
ただ、ツアーに参加する人たちの多くは旅慣れないお客さんたちです。
彼らを通り一遍の観光地へと案内する仕事が、旅好きを満足させるとは思えません。
むしろ、仕事でする決まりきったツアーを重ねるうち、旅そのものを嫌いになってしまうのではないでしょうか。
《好きなことを仕事にするのではなく、好きなことが仕事になる》
ここでも選択肢としては、きちんと休暇の取れる別の仕事を持ち、自由な旅を大切にするライフスタイルの方が幸せに近づくはずです。
そして、そのライフスタイルを続けるうちに、旅を通じて得たさまざまなインプットが自分のスキルと組み合わさり、好きな遊びが仕事になるということが起こります。
好きなことを仕事にするのではなく、好きなことが仕事になっていくのです。
わたしの場合、旅を通じてさまざまな国や地域の食を楽しむうち、日本やハワイの飲食店にアドバイスをするようになり、今では海外に進出するレストランの顧問も務めています。
「好きと仕事の関係で大前提となるのは、いきなり好きなことを仕事にしてはいけないということです。
まずは個人としてきちんと稼げるビジネスのスキルを身につけ、好きなことを趣味として自由に楽しめるライフスタイルを作りあげていきましょう。
それができていないまま「好きなことを仕事にしよう!」「嫌いなことはしたくない!」と理想を追いかけても、道は開けません。
「わたしは若い時からずっと仕事と遊びの垣根をなくすことを目指してライフスタイルを 築いてきましたが、それは最初からすぐにできることではありません。
時間をかけて準備をし、少しずつ移行していくというのが実現可能な方法です。
人生には何かに焦点を合わせて、徹底的にがんばる時期が必要です。
「今が楽しければいい」と思って刹那的に生きていたら、何の能力も身につきません。
自分に必要な能力を身につけてからでも、人生はたっぷり楽しめます。
『何を捨て 何を残すかで 人生は決まる』青春出版社
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「好きなことを仕事にするのではなく、好きなことが仕事になる」というアプローチとは別に、「今やっている仕事を好きになる」という道もある。
本田静六氏のいう「仕事の道楽化」だ。
『人生の最大幸福はその職業の道楽化にある。
富も名誉も美衣美食も、職業道楽の愉快さには遠く及ばない。
職業の道楽化とは、学者のいう職業の芸術化、趣味化、遊戯化、スポーツ化もしくは享楽(きょうらく)化、であって、私はこれを手っ取り早く道楽化と称する。
名人と仰がれる画家、彫刻家、音楽家、作家などが、その職業を苦労としないで、楽しみに道楽としてやっているのと同様に、すべての人がおのおのその職業を、その仕事を道楽にするということである。
職業を道楽化する方法はただ一つ勉力(べんきょう)にある。
あらゆる芸術と同じく、はじめの間こそ多少の苦しみはあるが、すべての歓喜も幸福も努力を通してはじめて得られることを自覚し、自分の職業を天職と確信し、迷わず専心努力するにおいては、「断じて行えば鬼人も之を避く」とか、「精神一到(いっとう)何事か成らざらん」といわれるとおり、いずれ必ず仕事がよくわかってきて上手になる。
上手になるに従い、はじめは自己の性格(しょうぶん)に適していなように思われた職業も、しだいに自分に適するようになり、自然と職業に面白味を生じる。
一度その職業に面白味を持てば、もはやその仕事は苦労でなく道楽に変わる。』(本田静六 成功するために必要なシンプルな話をしよう/知的生き方文庫)
つまり、たまたまの縁で出会った仕事を「好きになる」という方法だ。
人生は、思いがけない偶然の積み重ね。
子どもの頃からの夢が実現するなどということは、まず普通の人には起こらない。
目まぐるしく変化する時代においては、自分が意図しない仕事に就くことは珍しくない。
だからこそ、その偶然に出会った仕事を好きになることも必要なのだ。
「置かれたところで咲きなさい」ということ。
そういう生活の基盤ができたうえで、自分の好きなことを同時にやっていく。
そして、大事なことは、その好きなことを発信することだ。
発信しなければ誰もそのことを知る術(すべ)がない。
だが、長くそのことをアウトプットし続けていると、それが思いがけなく仕事になることがある。
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