人の心に灯をともす 5857 いい言葉、粋な言葉

【いい言葉、粋な言葉】5857



萩本欽一氏の心に響く言葉より…


ある日、商社に勤めていた兄貴が「会社を辞めてちょっと商売やりたいんだ、金、出してくれないかな」って言ってきたことがある。

飛ばされたんだなってピンときました。

地方に転勤=左遷=退職っていう図式が見えた。


だけど、誰かを見返そうとして商売を始めても、失敗するのは目に見えている。

「失敗することに金は出さない」って断りました。


それからこうも言いました。

「細かいことはわからないけど、みんなそうやって腹を立てて辞めていくんじゃないの?

その時に腹を立てなかった人が、今、社長をやってるんだと思うよ。

だから、飛ばされたと思わない方がいいんじゃない?

将来活躍してもらうために、健康になってもらいたくて空気のいい田舎に転勤させようっていう、社長の粋な計らいなんじゃないの?」



結局兄貴は、定年まで会社にいて、のちに関連会社の社長までやりました。

その時の社長がどう思っていたか、本当のところはわからない。


だけど大事なのは、「粋な計らいだ」って思ったこと。

何事も悪く受け止めるより、よく受け止めた方がいいというのかな。

何かを言われた時に「でも」と返すより「なるほど」と言ってる方が、ぼくはいいような気がする。


嫌なことにどう対処するか。

そこに、その人の粋さは出ますね。

粋な人は、嫌な去り際にしないし、嫌な別れ方をしない。

相手とまだ付き合いを続けたいなら、目の前の嫌なことを、最後には感動して泣けるいい物語にするきっかけになるような言葉を発したいものだよね。


『人生後半戦、これでいいの』ポプラ新書
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本書の中にこんな話があった。


『僕が一番感動したのは、あるロケでした。

玄関のドアを開けて声をかけたら、家にいたのは全員女性。

大ばあちゃん、中ばあちゃん、お嫁さん、孫の女の子。

四世代で暮らしてる家だったわけ。

「じゃあ男の人は仕事が終わったらみんな帰ってくるんだ」って言ったら、それまで明るかったおばあちゃん二人が、途端に暗くなっちゃった。

お嫁さんの旦那さんが、前の年に亡くなってたんです。


その時に、ぼくの中にひとつ、お嫁さんへの疑問が出てきた。

「旦那さんが亡くなって一人になったのなら、実家のお父さんとお母さんが、帰っておいでって言うんじゃないの?」

「いつでも帰っておいでって言ってくれてるよ。でも帰らない」

「どうして?」


そしたらお嫁さんが、ちょっと天を見上げてにっこり笑って、こう言ったの。

弾んだ声だったな。

「だって、私の好きなパパの生まれた家だもん」


その時、ぼくの目からボロボロッと涙がこぼれた。

気持ちも言葉も、すごくいい。

最高のお嫁さんだと思ったね。


大ばあちゃんと中ばあちゃんも涙を流していた。

「今のセリフ、泣けるね」ってぼくが言ったら二人が、「言葉もよかったけど、それよりもっと嬉しいことがある」って。

「私たちの大好きなこのお嫁さんが、いつか実家に帰るって言うんじゃないかとずっと心配でしょうがなかったから、その心配が消えた幸せで涙が止まらない。

欽ちゃん、いい質問をしてくれてありがとう」


なんてことのないぼくの質問が、最高の質問になったんだね。

そのあとのおばあちゃんたちのセリフがまたよかった。

「こんないい子がずっと家にいてくれるって、欽ちゃん、私たち幸せでしょ」

ぼくはもう涙が止まらなかった。』



いい言葉、粋な言葉は、人を幸せにする。





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