人の心に灯をともす 4580 イノベーションとスカブラ
【イノベーションとスカブラ】4580
東京大学大学院教授、暦本純一(れきもと)氏の心に響く言葉より…
本当にイノベーションを起こしたいなら、「こうあらねばならない」的な真面目路線のほかに、「非真面目」な路線を確保することが必要だと私は思う。
つまり、人をキョトンとさせるような妄想を語る人間を排除しない。
役に立つかどうかよくわからないアイデアでも、とりあえずやってみる。
それが、妄想に寛容な社会だ。
誰もが正しいと認める課題を設定して、その解決策を真面目に追及することを否定はしない。
そういう行動ができる人間も、間違いなく社会に必要だ。
しかし、そうやって与えられた問題の正解を模索するだけでは、真面目一辺倒の社会になってしまう。
それによって社会全体に悲壮感のようなものが漂っているのが、今の日本ではないだろうか。
自分のやりたいことを思い浮かべて、楽しそうに何かを考えている人が大切にされる社会こそが、イノベーションを生むはずだ。
かつて、炭鉱には「スカブラ」と呼ばれる人たちがいた。
「スカッとしてブラブラしている人」の略だという説がある。
みんな一生懸命に炭鉱で働いているのだが、100人のうち5人ぐらいは、何をするでもなく機嫌の良さそうな風情でブラブラとそのへんを歩いている。
それで同じ給料をもらっているのだから怒られそうなものだが、誰も文句は言わない。
スカブラの人たちは「平時」は何もしないけれど、いざ事故やトラブルなどが発生するとすぐに駆けつけてみんなを助けてくれるからだ。
アリなどの集団でも同様で、観察すると実際には働いていないアリが一定の比率でいるそうだ。
しかし、常に100パーセントのアリが働いている状態だと、何かが起きたときに余力がなく集団全体が滅びてしまう。
今の社会や企業でも、「スカブラ」的な人たちを抱えることは、その集団全体を強くすることになると思う。
何をやっているのか誰が見てもわかる人たちだけではなく、何をやっているのかよくわからない非真面目路線の人たちの存在も許容するのだ。
そういう妄想型の人材も評価される世の中にならなければ、今の社会を覆う悲壮感は消えないし、イノベーションを生む土壌も育たない。
グーグルには、かつて「20パーセントルール」と呼ばれる制度があった。
「従業員は、勤務時間の20パーセントを自分自身のやりたいプロジェクトに費やさなければならない」というルールだ。
今はそれが許可制になるなどトーンダウンしているようだが、以前はそれがグーグルの「イノベーションの源泉」とも言われた。
従業員の時間を、20パーセントだけ「スカブラ」させていたのだ。
それも組織に「スカブラ」を抱えるためのひとつのやり方だろう。
イノベーションにつながる妄想は、世界中のいろいろなところで多くの人たちが抱いている。
まったく異なる分野で、同じようなアイデアを考えている人間もいる。
これは地下でグラグラと煮立っているマグマみたいなものだ。
マグマがどこから噴き出すかわからないのと同じように、それらのアイデアのどれが「世界初」のイノベーションとして噴き出すかは誰にもわからない。
ノーベル賞をとった研究者や発明家の多くも、たまたまある種の偶然がマグマの噴き出し口としてその人を選んだだけだと考えることもできる。
だから、「選択と集中」でその噴き出し口を狙い撃ちするのはきわめて難しい。
多様な妄想を許容して手を広げられるだけ広げておき、マグマが噴出する可能性を高めておくのが、イノベーションを起こすための正しい道だろう。
「スカブラ」的な人間の許容、というより「歓迎」することが、それにつながる。
企業のみならず、社会全体がそうやってイノベーションの種を広く蒔(ま)くようになることを望みたい。
また、「自分のやりたいことが見つからない」という人も、自分自身の中の「スカブラ」を探してみるといい。
課題を与えられないと何も考えられないと思っている人でも、どこかにスカブラが隠れているものだ。
何の意味があるかわからない妄想をまったく抱えていない人間は、たぶんひとりもいない。
自分の妄想を直視しよう。
そして大切にしよう。
『妄想する頭 思考する手』祥伝社
https://amzn.to/39OycJE
「スカブラ」とは九州に炭鉱があった頃の話だという。
炭鉱夫は危険と隣り合わせで、緊張の連続で、異常にストレスがたまる。
スカブラは石炭を掘らず、炭鉱夫たちにお茶を出したり、おもしろい話やバカ話でみんなを笑わせて息抜きをさせるのが役目だったそうだ。
しかし、炭鉱の経営が苦しくなると「スカブラ」は真っ先に切られたという。
その結果、士気が落ちて、生産性は落ちてしまったそうだ。
イノベーションを起こすため…
妄想やスカブラ的思考を大事にする人でありたい。
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東京大学大学院教授、暦本純一(れきもと)氏の心に響く言葉より…
本当にイノベーションを起こしたいなら、「こうあらねばならない」的な真面目路線のほかに、「非真面目」な路線を確保することが必要だと私は思う。
つまり、人をキョトンとさせるような妄想を語る人間を排除しない。
役に立つかどうかよくわからないアイデアでも、とりあえずやってみる。
それが、妄想に寛容な社会だ。
誰もが正しいと認める課題を設定して、その解決策を真面目に追及することを否定はしない。
そういう行動ができる人間も、間違いなく社会に必要だ。
しかし、そうやって与えられた問題の正解を模索するだけでは、真面目一辺倒の社会になってしまう。
それによって社会全体に悲壮感のようなものが漂っているのが、今の日本ではないだろうか。
自分のやりたいことを思い浮かべて、楽しそうに何かを考えている人が大切にされる社会こそが、イノベーションを生むはずだ。
かつて、炭鉱には「スカブラ」と呼ばれる人たちがいた。
「スカッとしてブラブラしている人」の略だという説がある。
みんな一生懸命に炭鉱で働いているのだが、100人のうち5人ぐらいは、何をするでもなく機嫌の良さそうな風情でブラブラとそのへんを歩いている。
それで同じ給料をもらっているのだから怒られそうなものだが、誰も文句は言わない。
スカブラの人たちは「平時」は何もしないけれど、いざ事故やトラブルなどが発生するとすぐに駆けつけてみんなを助けてくれるからだ。
アリなどの集団でも同様で、観察すると実際には働いていないアリが一定の比率でいるそうだ。
しかし、常に100パーセントのアリが働いている状態だと、何かが起きたときに余力がなく集団全体が滅びてしまう。
今の社会や企業でも、「スカブラ」的な人たちを抱えることは、その集団全体を強くすることになると思う。
何をやっているのか誰が見てもわかる人たちだけではなく、何をやっているのかよくわからない非真面目路線の人たちの存在も許容するのだ。
そういう妄想型の人材も評価される世の中にならなければ、今の社会を覆う悲壮感は消えないし、イノベーションを生む土壌も育たない。
グーグルには、かつて「20パーセントルール」と呼ばれる制度があった。
「従業員は、勤務時間の20パーセントを自分自身のやりたいプロジェクトに費やさなければならない」というルールだ。
今はそれが許可制になるなどトーンダウンしているようだが、以前はそれがグーグルの「イノベーションの源泉」とも言われた。
従業員の時間を、20パーセントだけ「スカブラ」させていたのだ。
それも組織に「スカブラ」を抱えるためのひとつのやり方だろう。
イノベーションにつながる妄想は、世界中のいろいろなところで多くの人たちが抱いている。
まったく異なる分野で、同じようなアイデアを考えている人間もいる。
これは地下でグラグラと煮立っているマグマみたいなものだ。
マグマがどこから噴き出すかわからないのと同じように、それらのアイデアのどれが「世界初」のイノベーションとして噴き出すかは誰にもわからない。
ノーベル賞をとった研究者や発明家の多くも、たまたまある種の偶然がマグマの噴き出し口としてその人を選んだだけだと考えることもできる。
だから、「選択と集中」でその噴き出し口を狙い撃ちするのはきわめて難しい。
多様な妄想を許容して手を広げられるだけ広げておき、マグマが噴出する可能性を高めておくのが、イノベーションを起こすための正しい道だろう。
「スカブラ」的な人間の許容、というより「歓迎」することが、それにつながる。
企業のみならず、社会全体がそうやってイノベーションの種を広く蒔(ま)くようになることを望みたい。
また、「自分のやりたいことが見つからない」という人も、自分自身の中の「スカブラ」を探してみるといい。
課題を与えられないと何も考えられないと思っている人でも、どこかにスカブラが隠れているものだ。
何の意味があるかわからない妄想をまったく抱えていない人間は、たぶんひとりもいない。
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そして大切にしよう。
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「スカブラ」とは九州に炭鉱があった頃の話だという。
炭鉱夫は危険と隣り合わせで、緊張の連続で、異常にストレスがたまる。
スカブラは石炭を掘らず、炭鉱夫たちにお茶を出したり、おもしろい話やバカ話でみんなを笑わせて息抜きをさせるのが役目だったそうだ。
しかし、炭鉱の経営が苦しくなると「スカブラ」は真っ先に切られたという。
その結果、士気が落ちて、生産性は落ちてしまったそうだ。
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