人の心に灯をともす 5542 今日の異端は明日の正統

【今日の異端は明日の正統】5542



島地勝彦氏の心に響く言葉より…


人類のほとんどの新しいことは異端からはじまっている。

ガリレオは地球が太陽の周りをまわっているというコペルニクスの地動説を実証したら、宗教裁判にかけられ地動説の放棄を命じられた。

そのとき、ガリレオは静かにいった。 「それでも地球はまわっている」


「われ思う、故にわれあり」といったデカルトも異端の学者として生前扱われた。

デカルトの哲学はまもなく神と科学のぶつかり合いまで発展した。


ヨーロッパの中世は宗教戦争で明け暮れていた。

そこに救世主のごとく現われたのがデカルトである。

物事を客観的にみるということは、いまは極めて当たり前の考察だが、すべてがキリスト教一色だった十七世紀のヨーロッパでは革新的だった。


客観的に事実をみることは、すべてを疑ってみることであり、神の存在をも危くするものであった。

時代を画したデカルトの哲学書『方法序説』は、当然発禁となりライデン大学はデカルトの哲学を禁じて、従来のアリストテレスの哲学以外は教えてはならないと決めた。

しかし異端の学者デカルトが存在しなかったら流血のフランス革命は起こらなかった。


時代を経るととともにデカルトの哲学は正統に評価されてきたのだが、皮肉にもデカルトの頭蓋骨はどこにいったのか、行方不明になってしまった。

フランス人のデカルトはスウェーデンで客死した。

いったんストックホルムの教会の墓地に埋葬され、デカルトの熱狂的なファンの情熱によってパリの教会に再び埋葬し直されたのだが、頭蓋骨の部分が紛失していたのだ。


出版界でも異端を大切にしないとマンネリ化がはじまり退屈な正統ばかりになって滅んでいくだろう。


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古来よりの歴史をひもとくと、世の中が引っくり返るような大変化のときには、通常の指導者やリーダーでは対応できない。

ある種の狂気や、パラノイア(偏執症)を持った人が危機を救っている。

もちろん、その資質ゆえに、状況を悪化させたり、ダメにしてしまっている人もいる。


まさに、ウィンストン・チャーチルがそうだった。

ヒットラーの本質を見抜き、イギリスの首相となって国を守った。


閑吟集に次のような言葉がある。

《 くすむ人は見られぬ 夢の夢の夢の世を うつつ顔して 何せうぞくすんで 一期は夢よただ狂へ》


まじめくさった人なんて見られたもんじゃない。

まるで夢のようにはかないこの世を、さも悟(さと)ったような顔をしたところでどうなるものか。

我々の一生は夢のようなもの。

ただ面白おかしく狂えばよい。



世の中が引っくり返るような大変化のときとは、狂気の時代。

狂気に対しては狂気で向かうしかない。

現代は、AIによる超大変革の時。

通常の対応では、ほとんどの会社も、組織も生き残れない。


いまこそ、異端の人を認めなければならない時がきた。






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