人の心に灯をともす 5360 ヒュッゲとは

【ヒュッゲとは】5360



イェンス・イェンセン氏の心に響く言葉より…


「ヒュッゲ」とはデンマーク語であり、綴りは「Hygge」動詞も名詞でも使われ、形容詞 「Hyggelig (t)」もある。

意味を一言で説明するのはムズカシイけれど、嬉しい、悲しいと同じように、人が感じる気持ちの一つと考えるとわかりやすいだろう。

ちなみに、「ヒュッゲ」と「楽しい」は似ていそうで、違う感じ。

何百人もいるクラブで音楽に合わせて踊って、お酒を呑むのは楽しいのかもしれないけど、それはヒュッゲではない。


ヒュッゲな気持ちとは、心配ごともなく心が安らぎ、心地よく時間が流れているときに感じるもの。

なんていうか、自然と「心が微笑む」ような、ゆったりとした感じだ。

そういう心を表すのだから、デンマーク以外にも、どの国にいても、ヒュッゲは感じられると、僕は思っている。


デンマーク人はヒュッゲを自分たちの誇りとしているので、「デンマークにしかない言葉なんだ!」と吹きまくる人が多い(笑)。

実際は、他言語にも似たような言葉はあるんだ。英語では「Cosiness(コージネス)」 とよく訳される。

ドイツ 語では「Gemutlichkeit(ゲミュートリッヒカイト)」やノルウェー語では「Koselig(コーセリ)」が近いかな。


意味はまったく一緒ではないが、デンマーク語しかないわけではないと思う。

人の暮らしはヒュッゲであるべきーこれが多くのデンマーク人の価値観にある。

「今日はヒュッゲしましょう」「ファミリーヒュッゲを大事にしよう」と語り合う場面はよくあることで、それだけヒュッゲ意識が高いということ。



2~3年前から、世界中でヒュッゲが大注目され、関連書も続々と出版されている。

その翻訳書の反響は日本でも大きい(が、日本の暮らしに沿って書かれたものはまだなかったと思う)。


昔からデンマークにあったヒュッゲが、なぜ今、注目されるのか、大きく二つの理由が考えられる。

一つ目は、国際連合が2012年から毎年発表している「世界幸福度報告 (World Happiness Report)」 で、必ずデンマークが上位に選ばれている事実。

そんな幸福に満ちた国の秘密を探ったところ、ヒュッゲが見つかったというわけ。

家族や人とのコミュニケーションを大切に、決して贅沢はしないけど、丁寧に暮らす。

そんなデンマーク人のヒュッゲな考え方や習慣の一つ一つが、幸福につながるのではないかと。


二つ目の理由は、現代人が抱えているストレスや忙しさ。

デンマークは経済は先進国のレベルを保ちつつも 国民の多くがゆったりとヒュッゲに暮らしている人がたくさんいる。

日本を含めて世界中のビジネスワーカーが、仕事と暮らしのバランスに悩み、より豊かに生きるヒントを求めて、ヒュッゲへの感心が高まってきているのだろう。


僕が日本に暮らして、かれこれ16年。

「イェンスは、幸福度No.1の国に生まれたのに、なぜランキング5位(2017年)の日本に住んでるの?」という質問を、たびたび受けてきた。

そのつど僕は「日本の方が暮らしやすいからだよ」と、シンプルに答えてきた。

実際、気候はデンマークよりはるかに穏やかで、食べ物もおいしい。

何より日本ならではの生活、古き良き風習にも、 ヒュッゲがたくさんあると気づいたからだ。


たとえば、こたつやお鍋パーティー、 銭湯などなど、日本らしい生活文化に触れるたび、デンマーク人の僕はヒュッゲな気分になってきた。

心から安らいで、楽しいひととき…もともと日本の暮らしにあったものでも、「ヒュッゲ」という言葉で伝えられると、より意識づけられるもの。

ヒュッゲな志向が増せば自然と幸福度も上がってくるのではないかと思ったりする。


『日本で、ヒュッゲに暮らす』PARCO出版
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ピア・エドバーグ氏の「Hygge(ヒュッゲ)」(サンマーク出版)の中にこんな文章があった。


『ヒュッゲは「居心地のよさ(Cosiness/コージネス)」と訳される。

物理的な居心地のよさを軸としながら、そこには「精神的な幸福感」や「周りとの一体感」も含まれる。

自分自身、そして周りの人たちとの親密さ、つながり、あたたかさを丁寧につくっていく。

そのアプローチ全体が、デンマーク流の「心地いい」暮らし方なのだ。

自分が守られていると感じられる場所、帰れる場所があるというのは本当に大切なこと。

公園でのピクニック、海辺でのんびりする、音楽祭に出かける、バーベキュー、サイクリング…こうしたことが、デンマーク流の「心地いい」時間の過ごし方の典型的な例だ。

どんなにささやかであっても、「目の前にあるものを楽しむ」こと。

くつろぎや居心地のよさを追求することで、本当の自分でいられる、安全な場所をつくり上げる。

自分の世界をつくり上げたら、親しい人たちをそこに招き入れる。

そこには、心あたたまるつながりや一体感が生まれるはずだ。』



アメリカの社会学者、レイ・オルデンバーグが提唱した考え方に「サードプレイス」がある。

サードプレイスとは、家庭(第1の場)でも職場(第 2の場)でもない第3の場所に注目しよう、ということ。

第3の場所とは、イギリスのパブやフランスのカフェのように、とびきり居心地が良く、まったりとした時間を過ごせる場所を意味している。


ヒュッゲとサードプレイスの概念は似ている。


どんなにささやかであっても…

「目の前にあるものを楽しむ」ことができる人でありたい。






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