人の心に灯をともす 5 「い」から「り」の価値観へ

【「い」から「り」の価値観へ】5923


精神科医、斎藤茂太氏の心に響く言葉より…


《「い」で置いてきたものを「り」で拾う》


これまで人間が目指してきたことはなんだろう。

それは「速い」「強い」「高い」ではないだろうか。

この思想がジェット機や新幹線を生み、武器を生み、天を突くような高層建築をつくりだしてきた。

私も武器はともかく、新幹線やジェット機は大好きである。

「速い」「強い」「高い」という価値は充分に認めたい。


しかし、そこに目を奪われるあまり、忘れがちになっていたものがある。

それは「ゆっくり」「のんびり」「ゆったり」の価値だ。

「速い」「強い」「高い」の「い」が一番と重要視され、「ゆっくり」「のんびり」「ゆったり」の 「り」が無視されることとなった。

もっとも、最近は、「い」の現代文明に対する反省があちこちで始まっているように思える。


たとえばファストフードに対するスローフード。

また、温泉、ブーム。

それも山の奥や人里はなれた一軒家の温泉、源泉を求めての旅。

あるいは園芸ブーム。

海外でも人気となっている盆栽の流行などだ。


どれもが、現代社会の加速されたスピードに反するものばかりである。

「早く、早く!」が求められるから、人はバランスをとるために「スロー」を目指しはじめたのだろうか。


もちろん「い」の価値は、今後もさらに追求され、人はその達成に力を注ぐだろう。

それが文明というものだ。


しかし一方、その逆の「り」の価値、効用が見直されてきたとしたら、私たちの文明はさらに一歩成熟したものとなるだろう。

「脇目もふらず」だけでは、豊かな社会とはいえない。

ちなみに私は昔の二翼の飛行機や、ゆうゆうと海原をゆく客船や、海岸線に沿って走る在来線の鈍行が大好きだ。

脇目をふりほうだいの時間に心が満たされる。

「い」で置いてきてしまったものを「り」で拾うことができるのである。


『「いそがない人」がいい人生を送る』知的生き方文庫
https://q.bmd.jp/91/119/5069/__no__




小林弘幸氏の「ゆっくり生きる」という記事があった。

『もし誰かに「究極の健康法を教えてください」と言われたら、「ゆっくり生きること」と私は即座に答えます。

ところが、現代社会を生きる私たちはとにかく忙しい。

時間的、物理的に忙しいだけでなく、「あれが心配だ」「こんな悩みがある」「気がかりなことがなくならない」など、精神的にも落ち着くことがありません。

私たちの体の調子を支配しているのは自律神経。

心臓や胃腸を動かしたり、血液をつくり、血管の収縮を管理するなど「自分では意識して動かせない部分」のすべてを担っているのが自律神経です。

この自律神経が乱れると、体の調子が悪くなり、果ては病気になってしまう。

残念ながら、多くの人が送っている「忙しく、落ち着かない日常」は、自律神経がもっとも乱れやすいライフスタイル。』(ゆっくり生きれば遠くまでいける/大和書房)より



長生きは、「長息(ながいき)」だと言われる。

長く深く鼻から息を吸い、長く深く口から息を吐く。

ヨガや禅で行われる腹式呼吸の呼吸法だ。


呼吸が速くなれば、呼吸も浅くなる。

呼吸が浅くなれば、血流が悪くなる。


「われらは遠くから来た。そして遠くまで行くのだ」という言葉がある。

人類は、長い長い歴史を生きてきた。

あくせくせず、淡々と…

『「い」から「り」の価値観へ』と言う言葉を胸に刻みたい。




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