人の心に灯をともす 5769 パンとサーカス

【パンとサーカス】5769



土光敏夫氏の心に響く言葉より…


『文芸春秋』に載った「日本の自殺」という私の論文の結論は、ローマ帝国は「パンとサーカス」によって滅びたというものだ。

これをわかりやすくいうと、巨大な富を集中し繁栄を謳歌したローマ市民は、次第にその欲望を増大させ、タダのパンを与えられて労働を忘れ、サーカスに代表される消費と娯楽に明け暮れるようになる。

その結果、ローマ市民はそれまでローマ帝国を支えてきた自立自助の勤労精神を失っていき、周囲の蛮族の進入によって滅ぶのだが、 その前にすでにローマ帝国は白アリから食われたように形骸化し、勤労精神のきわめて低い国家になっていた。

わが国がそのような轍をふまないためには、自立自助という勤労精神を失わないようにしなくてはならん。

それが私の哲学であり、行革をやらんとするスタンスだ。


『土光敏夫 信念の言葉』PHP研究所
https://q.bmd.jp/91/119/2263/__no__





日本を代表する地球物理学者、竹内均(ひとし)氏のこんな言葉がある。


『ローマ帝国はなぜ滅びたのか。

それは、外敵の侵略でもなく、地震、火災、洪水、飢饉などの理由ではない。

古代ギリシアその他のあらゆる文明が、ほとんど同じパターンをたどって滅びさっている。

ローマ市民は大土地所有者や政治家の門前に、無料のパンを求めて群がった。

彼らの支持と人気を得るために、その大土地所有者や政治家は、彼らの一人一人にパンを与えた。

こうして、働かないで無料のパンを得る方法を覚えた市民たちは、次にはもて余した時間で退屈しのぎをするためのサーカスを求めた。

現在でいうレジャーである。

市民からの点数をかせぐために、ここでまた政治家たちは巨大な競技場、集会場、娯楽施設、公衆浴場などを作った。

そしてその競技場で、公共の費用でまかなう競技や見せものを行い、市民の求めるレジャーを与えた。

紀元41ないし45年の皇帝クラディウスのときにすでに、競技や見せものを行うための競技日が93日、公の休日が159日に達していた。

こういう要求はとどまることを知らない。

紀元300年には、競技日は175日、公の休日は200日にも達していた。

こうしてローマの市民たちは、無料のパンとサーカスの配給を受け、繁栄と福祉を楽しんだ。

しかし、「ただほど高いものはない」。

このときすでに、ローマ人やローマ社会の腐敗や、ローマ帝国の没落が確実に始まっていたのである。

責任や義務を負うことを忘れた市民たちは、権利だけを主張した。

エゴの氾濫(はんらん)と悪平等主義の流行である。

ローマは、市民の「パンとサーカス」に対する要求によって滅んだと言われている。

(「修身」のすすめ/講談社文庫)より



国民が働かなくなり、防衛を外国人傭兵にまかせたローマ。

残念だが、今の日本の現状と重なって見える。

我々は、仕事や生活がうまくいかなくなったとき、往々にして、国や、社会や、景気のせいにしてしまう。

自ら努力しないことを棚にあげて、人のせいにする。


また、努力せずに、お金や物が手に入ったりすると、それはラッキーなことと喜ぶ。

人間は一度、そういう僥倖(ぎょうこう)に出合ってしまうと、 困ったことが起きたとき、もう一度そういう幸運がやってこないかを願ってしまう。

依存する心が芽生え、自ら打開する勇気や、挑戦する心を失ってしまうのだ。


独立不羈(どくりつ ふき)という言葉がある。

他から何の束縛や制約も受けず、自らの考えに従って事を行うこと、だ。


「ただほど高いものはない」

独立不羈の気概をもって、努力を積み重ねたい。




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