人の心に灯をともす 5807 人生を安定させる三つの柱

【人生を安定させる三つの柱】5807



藤尾秀昭氏の心に響く言葉より…


佐藤一斎は、その著書『言志録(げんしろく)』でこう述べている。


《人は須(すべか)らく自ら省察(せいさつ)すべし。

「天は何の故に我が身を生み出し、我をして果たして何の用に供(きょう)せしむる。

我すでに天物(てんぶつ)なれば、必ず天役(てんえき)あり。

天役共せずんば、天の咎(とが)必ず至らん」と。

省察して此(ここ)に到れば、則ち我が身の苟生(こうせい)すべからざるを知る。》



(人は真剣に考える必要がある。

「天はなぜ自分をこの世に生み出し、何の用をさせようとするのか。

自分はすでに天の生じたものであるから、必ず天から命じられた役目がある。

その役目を果たさなければ、必ず天罰を受けるだろう」と。

このように省察すると、うかうかと生きるべきではないことが分かる)



では、天役を知るにはどうするか。

そこには、三つの資質が浮かび上がってくる。



一つは、与えられた環境の中で不平不満を言わず、最善の努力をしている、ということ。


二つは、「他責」の人ではなく「自責」の人、であることである。


三つは、燃える情熱を持っていること。

当時八十六歳だった明治の実業人浅野総一郎氏が五十代だった新潮の創業者佐藤義亮(ぎりょう)氏に語った言葉が滋味(じみ)深い。

心耳(しんじ)を澄ませたい。

「大抵の人は正月になると、また一つ年を取ってしまったと恐がるが、私は年なんか忘れている。

そんなことを問題にするから早く年がよって老いぼれてしまう。

世の中は一生勉強してゆく教場であって、毎年毎年、一階ずつ進んでゆくのだ。

年を取るのは勉強の功を積むことに外ならない。

毎日毎日が真剣勝負。真剣勝負の心構えでいる人にして初めて、毎日のように新しいことを教えてもらえる。

私にとって、この人生学の教場を卒業するのはまず百歳と腹に決 めている。

昔から男の盛りは真(ま)っ八十という。

あなたは五十代だそうだが、五十など青年。

大いにおやりになるんですな」



三本の柱が立って物は安定する。

人生を安定させる三つの柱を忘れぬ生き方を心掛けたい。


『小さな修養論』致知出版社
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1.は、まさに、「置かれた場所で咲く」ということだ。


2.は、人のせいにする人は、「人まかせ」で生きる人だ。

自分は変わらず、「相手が変わってくれたら」と、人頼りに生きる人。


3.は、人生の後半生、特に晩年に近づいたら、学ぶことは大切だ。

それを森信三氏はこういう。

「人生の晩年に近づいたならば、青壮年の時代以上に、はるかに、心を引き締めて、人生の晩年の修養に努めねばならない」そして、「一日読まざれば一日衰える」と。



《天我が材(ざい)を生ずる 必ず用(よう)あり》

唐代の詩人・李白の言葉がある。


天は、私という人間をこの世に生んだ。

天が生んだのだから、私には必ず、何らかの役割や使命があるはずだ、と。


「人生を安定させる三つの柱」という言葉を胸に刻みたい。





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