人の心に灯をともす 5865 薫習(くんじゅう)

【薫習(くんじゅう)】5865



枡野俊明(しゅんみょう)氏の心に響く言葉より…


「薫習(くんじゅう)」という禅語があります。

日本では昔から衣替えの習慣があります。

冬に着ていた服を、春になれば仕舞い、春物の服を出してくる。

服を仕舞うときには、防虫剤としてお香を入れていました。

そのお香の香りが、仕舞っておいた服に移っている。


本来、服には何の匂いもありません。

それが季節をまたぐうちに、とても良い香りを身にまとっているのです。


実は人間もまた、これと同じだと思います。

美しい心をもつ人の近くにいれば、自然と自分の心も美しくなっていく。

邪(よこしま)な心をもち、悪行を重ねている人の傍にいれば、自分もまた悪いほうへと流さ れていく。


人間とは互いに影響を受け合いながら生きているものです。

お香の香りが服につくように、人間の心もまた、まわりに移っていきます。

であるからこそ、尊敬できる人の近くに身を置くことが大事なのです。


みんなに慕われている人。

その人の傍に身を置いて、その人の言動をよく見ることです。

きっとその人は努力をしている。

自分のことよりも先に、まわり人のことを考えている。

細やかな気遣いを心がけ、相手の気持ちを慮(おもんぱか)っている。


何もせずに慕われる人などいません。

その人の一挙手一投足を見つめながら、自分の行動を顧(かえり)みることです。


そしてときには真似をしてみるのもいい。

その人のもつ香りを精一杯、自分の身に移らせることです。

もしかしたら、そこにこそ「人づき合い」のテクニックなるものがあるのかもしれません。


『比べず、とらわれず、生きる』(PHP文庫)
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道元禅師様の言葉を記した『正法眼蔵随聞記(しょうぼうげんぞうずいもんき)』の中にこんな言葉がある。


『霧の中を行けば、覚えざるに衣湿(ころもしめ)る。

よき人に近づけば、覚えざるによき人となるなり。』


霧の中を歩いていると、知らないうちに着ている物が濡(ぬ)れてしまう。

同じように、よき人に近づけば、知らないうちによき人になる。


まさに「薫習」のことだ。

親が仏壇や神棚に毎日手を合わせている家庭は、子供も強制されたわけではないのに、知らずに手を合わせるようになる。

茶道などの習いごとでも、師匠の香りが弟子に知らずに伝わる。

同様に、親が商売をしているなら、後を継げと強制されなくても、子供が自然に跡継ぎになるようなこと。


尊敬する人、慕われる人のそばにいることはもちろん大事だが、人生の後半生を過ぎたら、自分が慕われる立場になっているかを考える必要がある。


親として、子供によき影響を与えているか。

リーダーとして、部下や後輩によき影響を与えているか。

人として、まわりの人によき影響を与えているか。


「薫習」という強制ではなくよき影響を与えること。

よき香りを人に移すことができる人でありたい。




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